1 流浪の民

自己中男の詩

嘘をついた
哀しい嘘を

あなたに嫌われたくなくて
あなたが遠くに行かないように

嘘をついた
優しい嘘を

あなたを哀しませたくなくて
あなたを困らせたくなくて

今まで何度も嘘をついた 今まで何度もあなたを欺いた
でも
たぶんこれからも僕は嘘をつく


あなたを哀しませたくなくて
あなたを困らせたくなくて

死んで嘘つきは地の底に行くと
あなたの神はつぶやいた
ならばせめてこの世では
嘘をついてでも
僕はあなたの傍に居たい


真実を語るなんて
僕にはたぶん無理
でもいつか
すべてがあなたに判る時が来て
僕の心は
君の涙で八つ裂きにされるんだ


あなたはまだ何も気付いていない
(910SH/SB)