1 リストカッター武藤◆sFA5

スイーツ小説【天国のアナタへ】

国道を走る車のクラクションで、あたしは眼を覚ました。「うるさいなあ〜もう・・・うっわ9時過ぎてんじゃん・・・」
学校では1限目がすでに始まっている時間だ。
「The motherなんで起こしてくれないのよ・・・クソが・・・」寝坊したのはThe motherのせいであってあたしのせいじゃない。
だから二度寝してもあたしのせいではないのだ。

おやすみなさい・・・」

あたしは二度寝した。
2 名無し
目が覚めると、家にはあたし以外誰もいなかった。時間は11時だった。「
今から出ると・・・着くのは12時ごろね」あたしは制服に着替え、シャワー浴びて、赤いカーディガンを腰に巻いて家を出た。

学校に着いた。教室に入った。今は数学の時間みたい。「おはようございます」皮肉気味に数学教師は言った。嫌な奴だ。

東大でてるからっていい気になるんじゃあないぞッ!
3 リストカッター武藤◆sFA5
席に座って一眠りしていると数学の時間は終わった。昼休みだ。「詩子ぉ〜、このままじゃ留年確実だよ?」後ろから声がした。親友の豚子だ。
豚子はその名前に恥じない核兵器級の顔面をしている。大抵のものは平気なあたしでさえ初見では吐いてしまったほどだ。それでも豚子は笑っていた。もう慣れっこらしい。「ゎヵってるよぅ〜、でも疲れが抜けなくてさぁ〜」「大丈夫?」「うん・・・でもこの疲れはもうそういうレベルぢゃなぃね・・・」「詩子は大変なんだねぇ〜」豚子はその顔とは違ってものわかりがいい。だから成績もいい。
この前の中間で赤点が2つしかなかったと聞いた。まぁあたしは4つだからそんなに差はないんだけど。少し話した後、豚子は委員会の仕事でどこかへ行ってしまった。
ザワザワ・・・キャハハ・・・ヌフフ・・・
あたしは昼休みのこういう空気が嫌いだ。教師達は
「友達と話せ」トカ「友達と遊べ」トカ言ってくるケドあたしはガキっぽい生徒達なんかと一緒にされたくない。ルールに従うだけのイイコブリッコと付き合っても疲れるだけ。ひとりでいたほうがずっと楽。あ、豚子がいるか。まあいいや。
4 リストカッター武藤◆sFA5
次の朝。あたしは目覚ましよりも早く起きた。えらいぞあたし。制服に着替え、シャワーを浴び、学校へ行く。学校に着いた。教室に行く。今日はなにやら教室が騒がしい。なんだなんだ。あたしにも聞かせろ。といっても友達がいないので誰にも話しかけれない。どうしょうカナ・・・って思ってたら

「おはよー詩子ぉー」後ろから声がした。豚子だった。心の準備ができていなかったので朝ごはんが喉まで来た。危ない危ない。
5 リストカッター武藤◆sFA5
「転校生?」意外な言葉にあたしらしくないマヌケな声を出してしまった。「そうだよぉー、男の子なんだってさー」「へー」

それで皆カッコイイだのバームクーヘンだの話してたんだ。「詩子は気にならないの?」「あたしはそういうの興味ないからねー」

クールに言ってのけた。いいぞあたし。輝いてるぞあたし。
しばらく話してると
豚子は先生の手伝いでどこかへ行ってしまった。
6 リストカッター武藤◆sFA5
8時半になり、担任の教師が来て、ホームルームが始まる。他愛もない話、文化祭の話、そして・・・転校生の話。「よーし先生クラスの新しい仲間紹介しちゃうぞー。タクオ、入ってこーい」ガララッ
入ってきたヤツは、決してイケメンではなかった。どこにでもいそうなフツーの男子生徒・・・凡夫・・・
身の安全を最優先する・・・錆付いた人間性・・・
「とりあえず自己紹介でもしてもらおうか」「はい。ウプ卓男です。趣味は株取引と野球観戦、好きなティームはザスパ草津です。」自己紹介もフツー。何の魅力もない。大丈夫かコイツ・・・?「ウプに質問は・・・ないな。じゃあ非公開の隣が空いてるからからそこに座ってくれ。」隣に人間が来るのは何年ぶりだろ。でもよりによってコイツか・・・「よろしく。」ウプ卓男はあたしを見て微笑んで言った。「よ、よろしく・・・」
な、慣れなれしい・・
7 リストカッター武藤◆sFA5
午前中、これといって変わったことはなかった。

といっても眼が覚めたらお昼休みだったんだけど。「非公開・・・だっけ?」

隣から声がした。豚小屋タクオだ。「な、何?」「お前午前中ずっと寝てたけどさ、勉強とか大丈夫なのか?」なんだコイツ。慣れなれしい上におせっかい??
マヂ勘弁・・・「う、うるさいな。あたしは疲れてるの。」「何で?」「毎日忙しいからね。」「プッ」コノヤロオオオオオオオオオオオオオオ!生きて帰れると思うなよ!
「あんたねえ、あたしは
「ストップストップー!」聞きなれた声がした。豚子だった。「もー、ふたりともケンカはダメだよー?」「そんなんじゃないわよ!コイツが・・・」指差すと、豚小屋タクオの顔は牛乳のように真っ白だった。「あ・・・!」忘れてた。コイツ豚子の顔見るの初めてだった。タクオ は たおれた
8 リストカッター武藤◆sFA5
―――――今日は、ウプ卓男の葬儀の日だ。出会って数時間で天国にいってしまったタクオ。株取引とザスパ草津を誰よりも愛したタクオ。寝ているあたしを気遣ってくれたタクオ。
彼は・・・もういない。・・・もっといっぱい、話したかった。過ぎてしまったことは、仕方がない。だからこそ、切ない。これは誰のせいでもないのだ。あたしのせいでも、豚子のせいでも・・・もちろん、タクオのせいでも。すべては、なるべくしてなったことなのだ。「詩子ぉーっ!置いてっちゃうよぉー!」
豚子の声が聞こえた。「今行くー!」あたしは応えた。サヨナラ、タクオ。あたし、生きるよ。タクオのぶんも、あたし、精一杯生きるから。それと・・・
ザスパ草津は・・・サッカーのチームだよ。

〜END(No.5 屯空)〜
9 リストカッター武藤◆sFA5
この小説のハッピーエンドは省略されました
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10 名無し
映画化決定wwww
11 名無し
保守
12 名無し
なんじゃこりゃww
13 名無し
これ見るといつも八頭身とマンカスが天才に見える
14 名無し
ピカチュウ