よう

その日、雨は降り続けていた。
私の名前はひとみ。
その日私は一人でファミレスのコーヒーおかわりで何時間いられるか挑戦していたの。
「コーヒーおかわりいかがですか？」
店員の男がコーヒーの入ったポットを持ち、ひとみに問いかける。
「あ、お願いします。」
ひとみがそう答えると、男はそっとひとみのコーヒーカップにポットを傾けた。「お待ち合わせですか？」
男はひとみに質問を投げかけた。「いえ。」気まずそうに答えるひとみ。

「そうですか、これは失礼いたしました。」
男はそう言って奥の方に戻っていった。
「やっぱり一人じゃ煙たがられるよね。」
ひとみはそう言って伝票を持ち、席を立とうとした。奥からさっきの店員が近づいてくる。
「ありがとうございました。」
そう言って店員はレジスターに向かう。

「380円になります。」

財布を取り出すひとみ。
すぐにバッグに財布がないのに気付く。
「あれ？家に忘れたのかな？」
焦るひとみ、どうしたらいいか分からない。
「どうされました？」
ひとみに店員が声をかけた。
「財布が…」
そう言ってバッグを探すひとみ。

「なるほど。」

男はそうつぶやくと続けてひとみに話しかけた。
「では、今日は帰れませんね。」
男は少し微笑みながらひとみにそう言った。
「どうしよう…」
困惑するひとみ。
「いえいえ、嘘ですよ、今日はお代金は結構です。」
男は笑いながらそう答えた。

「で、でも…」
ひとみは益々困惑する。
ファミレスでそんな事出来る訳がない。
「安心してください、私が立替ておきますから。」
ひとみが考えている事を察したかの様に男は答えた。
「そんな…悪いですよ…」
今日はじめて会ったのにそんな親切してくれるなんて、そう思っていると、
「おごる訳じゃないよ、また返しに来てくれたらいいから。」

フレンドリーな男の返答に少しだけ安心するひとみ。
「じゃあ、後ですぐに返しに来ますんで。」
男はにこやかに、はい、とだけ言ってポケットから出した小銭をレジスターに放り込んだ。
「またね」
男はそう言うとまた奥に戻っていった。
「あ、名前は？」
ひとみがそう言うと、男は胸の名札を指差した。
「森さんですね、また後で。」

店を出て家路に向かうひとみ。
「森さんか、いい人だったなぁ…」
只のファミレスの店員の男、数分前までは興味もなかったのに、ひとみの頭の中は森の事で一杯だった。
無事家に着く、階段を駆け足で上がり部屋に辿り着くとテーブルの上に無造作に財布が置かれていた。
「私、馬鹿だね！」
そう言うと舌を出して拳で頭を軽く打った。

財布をバッグに入れると、急いで階段を降りるひとみ。
「ひとみーなんかあったの？」
奥から母親がエプロン姿で出てきた。
「何でも無いわよママ！」
嬉しさで声が弾むのが自分で解る。
「おかしな子ねぇ」
母親はそう言うと台所に戻って行った。
玄関の鏡に向かって髪をいじるひとみ。
「よし！」

玄関を出るとさっきファミレスに向かうひとみ。
心なしか足早になっていた。
「森さんか…」
ファミレスに着くまで頭の中でリピートするひとみ。
「いらっしゃいませ！」
ファミレスのドアを開けるとウエイトレスが笑顔を振り撒き接客する。
「森さんいらっしゃいますか？」
「え？あ、森なら先程上がりましたが？」
びっくりするひとみ、しかしすぐにウエイトレスにお礼を言うと店を後にした。

うつむいて家路に向かうひとみ。
「シフト聞いて来たら良かったなあ…明日また来るかな…」
そう思っていると、
「よう、早かったなあ」
振り向くひとみ。

そこには森が立っていた。
「バイト終わってたんだね」
「ごめん、忘れてたよ」
森は笑いながら手を合わせそう答えた。
「はい！お金、さっきはありがとうございました！」
財布から380円出して森に渡すひとみ。
「どういたしまして。」
森は受け取り、ひとみにそう答えた。
「今度は私がお詫びにコーヒー奢るよ。」

「今から？」
森が何気なくひとみに聞いた。
「いつでもいいよ？」
腕を組んで考える森、すぐに組んだ腕をほどき、
「じゃあ、今から行こうか」
「うん！」
何故かひとみは嬉しさを隠せず大きな声が辺りに響く。
「じゃあここで」
自動販売機の前で立ち止まり、缶コーヒーを指差した。

「ここ？」
ひとみは驚いた顔して森に聞く。
「ああ、だってコーヒー代立替ただけだろ？そんなに迷惑じゃないし…」
森はそう言うとポケットから小銭を出してコーヒーを買った。
「何してんの？ひどーい！私が出すのにー！」
「」

「じゃあ、自分の分買えよそれは俺がお前に奢ってもらう分、そんで俺がもう一つを自分で買っただけ、だろう？」
難しい顔をするひとみ。
「そんなのわかりません！」
森は笑いながら近くのブロックに腰かけた。
「座って飲んだ方が美味いよ？」
「もーう、ごまかしてー」
ひとみはほっぺを膨らましながらブロックに腰かけた。
「で、お前名前は？」

「あ、まだ言ってなかったね？私はひとみ、あなたは…森さんか」
笑いながら森が缶を口に運ぶ。
「下の名前はまきおだよ、ひとみちゃん」
「へえーまきお君かあ」
「なんか変？」
「フフッ！変じゃないよ？」
ひとみはまきおを見つめながらそう答えた。
「そう言えば、何してたの？ファミレスで？」

かき氷たべたい

「只の暇つぶしだよ？暇人だからね」
「そうか、今日休みだろ？彼氏と遊ばないのか？」
ひとみは下を向いて、
「いなーいもーん」
「そっか、かわいいのにな」
まきおの口から出た言葉にひとみは顔を紅く染めた。「そっそんなことないよ！あ、えと、まきお君は？彼女いないの？」
少し間が空いて、
「いないよ、モテないからね」
そう言ってまきおはひとみを見つめた。

日が落ちて辺りが暗くなる、ひとみは時計を見た。
「もうこんな時間か、私帰らないと…」
「そっか…」
そう言って立ち上がり缶をゴミ箱に投げ入れるまきお。
「あ、そうだ！メアド教えてよ？」
「えっ？あ、はい」
赤外線通信をする二人。
「へえーこんな字を書くんだまきおって」

かき氷食べたいし

「ああ、そうだよ」
「万亀寿君かあ、じゃあまー君だね！またねメールするよ！」
「ああ、またな！」

一時の別れ、またの再開を心で近いながら家路に向かう二人だった…


みんなひとみ組に入ろう！

興奮してきたw

あ

ああ、ガムやるよ

マンカメスがかっこいいとかないから！