1 陽花

『無限の住人』カンヌ公式上映後、木村らが会見A

◆「無限の住人」を英紙ガーディアン「星4つ」高評価

 「無限の住人」は、英大手新聞「ガーディアン」から「星4つ」(最高は5つ)の高評価を受けた。同紙は「オリジナリティーに物足りなさはあるものの、力強さがあり、観客が持ち帰るものがある。三池ワールド全開だ」と評し、木村の演技についても「(アクションで)衣装がなびくたびに興奮が止まらない」としている。

◆木村拓哉「引きずっていたら歩けなかった」一問一答

 木村はレッドカーペットを歩き、作品上映を終えて大歓声を浴びた後、杉咲花(19)三池崇史監督とともに日刊スポーツなどの取材に応じ、率直な今の気持ちを語った。一問一答は以下の通り。

 −会見や上映など、カンヌでの1日を終えて

 杉咲 すごくホッとしました。全くどんなことがこれから起こるのか本当に想像できなかったので、1つ1つ、カンヌってこんな場所なんだなとか、お客さんはこういうリアクションするんだとか、現地の海外メディアの方はこういう聞き方するんだ、と思って。初めてのことをいろいろ体験できて、すごく幸せな時間でした。

 木村 海外の方たち、2000人以上の方が、男性はタキシード、女性はドレスで、客席に座っていただいていて、身の置き方はすごくフォーマルだったんですけど。映画の見方というか、楽しみ方はすごくカジュアルで、ストレートで、なんかすごくすてきだな、こういうことなのかもしれないな、って思いました。すごくうれしかったです。

 三池 いい映画だな、と思いました(笑い)。やっぱりお客さんの反応というか、劇場そのものが最後に映画を後押ししてくれるというか、非常に心地よい時間を過ごすことができて、監督としてはこれ以上の幸せはないですね。

 木村 日本で公開を迎えさせていただいた時に、市原隼人ってやつが、「映画の一番の花形はお客様です」って言っていて。その時にも、すごくいいことを言う俳優さんだなって思ったんですけど。本当に今日のカンヌでの上映で、お客さんと一緒に映画を見て、拍手だったりとか、笑いだったりとか、驚きだったりとか、そのまま表現していて、スクリーンがあって、客席があって、今日の上映は一方通行じゃなかったな、コミュニケーションがとれていたなと思って。市原隼人の言葉を思い出しました。

 −会場総立ちで、スタンディングオベーションでした

 木村 言葉とか、文字とかではない、気持ちでみなさんが見終わった時の表現をしてくださったことに感謝しています。言葉じゃないんですよね、みんな。手をたたきながら、どの人を見ても、僕らに向けて、笑いかけてくれているっていう。本当にうれしかったです。

 −上映中、客席からの笑いが出たり拍手は狙い通りのタイミングでしたか

 三池 割と自分にとっては、まあこういう風に楽しむだろうな、っていう(タイミングでした)。キャラクターを楽しんでくれているというか、理解しているという。物語はもちろん大切なんですけど、物語を展開するための役というか、道具として役が生まれてるわけじゃなくて、役そのものが物語を作っていく。万次が最後現れた時に、自分のヒーローが現れたみたいに、分かっているくせにそういう拍手が起こる。こっちの人は、自分たちの見方を持っている。勇気づけられます。

 −緊張感はありましたか

 木村 確かに、レッドカーペットを歩くのが皆さんからもゴールだと言われていて、各国のマスコミの方々が僕らに視線を投げかけてくれるっていう場ではあったんですけど、そこからステップアップして、劇場に入って行く時に、監督が紹介されて、自分が紹介されて、花ちゃんが紹介されて、劇場に入っていって、全客席の方々が拍手で迎え入れてくれて、「あ、ゴールってこっちだったな」っていう。劇場に向けてステップアップしていく時は結構緊張もあったんですけど、拍手で迎え入れてくれた瞬間に、友達感覚というか、すごい近い存在に急にお客さんがなってくれたので、すごいリラックスできました。

 −ラストで万次(木村)が登場して、大歓声があがった時の気持ちは

 木村 どういう気持ちというよりかは、すごく照れくさいというか。うれしいんですけど。監督が横で、「そうなるでしょ」ってつぶやいていたので、さすが、やっぱり違うなって思って。

 三池 それは単に、自分で作っておいてあれですけど、万次が現れた時に、「よし来た」ってうれしかったですよ。万次が間に合った、っていう。何度見ても、やっぱり新しい驚きというか、発見っていうのが絶えずあるので。映画そのものは変わらないけど、私たちが変わってくるから。映画が語りかけてくれる内容も変わってくる。映画的にホッとする。やっぱ来たなっていう感じ。他のお客さんよりも、俺が一番「よし来た」って思ってたんじゃないですかね(笑い)。

続く→