1 陽花

『無限の住人』カンヌ公式上映後、木村らが会見F

■木村拓哉、3度目のカンヌ来訪へ意欲「タキシード、また袖を通せたら」

 フランスで開催中の「第70回カンヌ国際映画祭」に13年ぶりに参加した元SMAP・木村拓哉(44)が、現地時間18日夜(日本時間19日)、レッドカーペットと公式上映に出席した。グループ解散後初の主演映画「無限の住人」が特別枠「アウト・オブ・コンペティション部門」で上映され、2300人から約5分間、スタンディング・オベーションを受けた。ソロとしての“世界デビュー”が上々の反応となった木村は、3度目のカンヌ来訪がかなうことを期待した。

 13年ぶりのカンヌで総立ちの拍手を受けた木村は、三池崇史監督(56)の手を高々と上げながら、笑顔で応えた。

 「言葉じゃないんですよね。どの人を見ても、手をたたきながら僕らに笑いかけてくれているのがうれしかった。感謝しています」

 ダイレクトな反応が心地よかった。木村演じる不死身の用心棒・万次が女優・杉咲花(19)演じる凜のピンチに駆けつけると、待ってましたと言わんばかりの大歓声。壮絶な殺陣など、三池監督との初タッグで完成させた時代劇に、観客は上映中でも拍手や笑いで感情を表現した。

 黒のタキシードにちょうネクタイで鑑賞した木村は、同様の装いの約2300人に「身の置き方はフォーマルですけど、映画の楽しみ方はカジュアルで素敵。(共演者の)市原隼人の言葉『映画の花形はお客さん』を思い出した」と満足そうに話した。レッドカーペットでは、赤の着物姿の杉咲や三池監督と多くのフラッシュを浴びた。

 木村のカンヌ映画祭参加は04年の香港映画「2046」以来、13年ぶり。今年からスタートしたソロ活動後、初の映画祭でもあったが「ソロ活動、初の映画祭とか結びつけは強引すぎて、どうなんだろう」と特別な意識はないとした。海外の記者からSMAP解散について「寂しくないの?」と聞かれたと明かし、「事実は事実。でも、そこをまた自分の中で引きずっていたら歩けなかった」。解散から4カ月半経過したいまは、過去を受け止めながら前を向いて進んでいる。

 今作は英国の大手新聞「ガーディアンズ」で五つ星中の四つ星を獲得。木村は「ネガティブキャンペーンがあっても構わない」と作品に誇りを抱きながら、「一度きりのタキシードもなんなんで、また袖を通せたら」と強い思いを口にした。今後も役者道をまい進しながら、3度目のカンヌを目指す。

◆“人間・木村拓哉”を絶賛 主演映画の三池監督「常に貴重な存在」

 フランスで開催中の「第70回カンヌ国際映画祭」に13年ぶりの参加となった元SMAP・木村拓哉(44)が現地時間18日夜(日本時間19日)、レッドカーペットと公式上映に三池崇史監督(56)、女優・杉咲花(19)と共に出席した。

 三池監督は“人間・木村拓哉”を絶賛。昨年1月のSMAP解散騒動時に撮影で一緒だったが、「現場に気配を見せない」と揺れる胸中をおくびにも出さなかったという。

 「事務所の思惑もある」中で、スーパーアイドルとして25年にわたりライブでファンを魅了してきたことに、「自分がまず踊り歌わないと始まらないという緊張感で生きてきた。ただの映画俳優と違う」と信頼を寄せる。「今の木村拓哉からは何を感じて、何が見えているのか。“木村拓哉論”を書きたい。非常に貴重な存在」と木村の思考に興味を抱いていた。

◆杉咲花“通訳”木村拓哉をコキ使う? 三池監督が暴露

 カンヌ初参加の杉咲は、木村の通訳を頼りに乗り切った。「木村さんは英語がお話しできるので、たくさん通訳していただきました」と語ると、三池監督から「こき使ってました」と暴露された。

 初の振り袖姿には、「特別な経験。まだ成人もしていないので」と語ると、木村から「成人しちゃえば、ここで」と突っ込まれていた。いじられながらも頼りになる先輩2人に支えられ、「初めてのことを体験できて幸せな時間でした」と感無量の様子だった。

◆木村拓哉 カンヌでの歓声は?「照れくさい」

 −イベントを終えた気持ちは?

 「拍手や笑い、驚きをそのまま表現した客席があって、今日の上映は一方通行ではなくコミュニケーションが取れていた」

 −上映前に緊張は?

 「緊張はあったんですけど、拍手で迎え入れてくれたときに友達感覚というか、すごい近い存在になってくれたのでリラックスできました」。

 −ピンチに駆けつける場面の歓声は?

 「照れくさい」

 −日本の映画でカンヌに戻ってきたが。

 「(日本の)文化って、国内の方が熱が冷めている感じを若干感じていた。灯台下暗しというか、自分たちの良さに光を当てていいんじゃないかな」

 −主演で戻ってきたことに意識は?

 「意識はないです」

 −(映画は)賛否両論あるが、ぶれない理由は?

 「三池崇史監督がいるし、杉咲花がいる。現場にいけば、スタッフ、共演者がいる。ネガティブキャンペーンがあっても構わないと思うけど、僕らはしっかりとした答えを持っているので」

 −海外メディアの反応は聞きたい?

 「インタビューがあって、それぞれの視点で見てくれた。10人いたら、それぞれ感想がある。聞くのは楽しい」

(17/5/20(土)デイリースポーツ)