1 陽花

【オリコン】二宮がインタビューで木村を語る@

■二宮和也、木村拓哉との共演に感慨

 映画『検察側の罪人』(8/24公開)で、若手検事・沖野に扮する二宮和也。その上司の検事・最上は、ジャニーズ事務所の先輩である木村拓哉が演じている。木村とは、今作が初共演。二宮は以前から「共演してみたい」と希望していたと言うが、その理由は意外なところにあった。

■木村は「厳しいところは他の人より厳しいし、優しいところは他の人より優しい」

 木村拓哉と二宮和也、それぞれ映画やドラマで活躍する2人だが、共演したのは今作が初。主演であり、現場の座長である木村に対し、後輩の二宮はどんなことを感じていたのだろうか。

 「環境を整えていただけたので、木村くんは大変だったかもしれないけど、僕は楽しかったです(笑)。木村くんは、役者としても先輩ですが、事務所の先輩でもある。だからこそ、厳しいところは他の人より厳しいし、優しいところは他の人より優しく…という特殊な関係。僕はずっと甘えていたという印象ですね(笑)」

 木村が整えた「環境」。そこには、後輩であっても二宮を役者としてリスペクトする、木村なりの姿勢があったという。二宮はそんな先輩の横顔を観察しつつ、感謝を寄せる。

 「僕のこれまでの出演経験を踏まえていただいた上で、『あなたのやり方があるでしょ』と、尊重してくださる。『すべてに添えるかはわからないけど、出来うる限り整えるから』という感じです。木村くんは、感情が見えにくいんですよ。すぐ寡黙になるし、黙ると怒ったような顔になるから(笑)。でも、実は黙っているときは何かを考えているんです。しかも考えているのは、いま現場で起こっている問題の先。こう解決した後はどう展開しようか、とか…あくまでも僕のイメージなんですけど(笑)。そういう木村くんと一緒にできたことは、僕だけではなく、共演者もスタッフも、とてもやりやすかったんじゃないかと思います」

■「ここを逃したら一生ないかもしれない」、平成の大スター・木村との共演を熱望

 もともと、木村との共演を望んでいたという二宮。そのきっかけは、意外にも「平成が終わる」という報道だった。

 「リアルに思ったのは2年くらい前、今の天皇陛下が退位されて平成の元号が変わるという報道が出た時からです。平成が終わってしまうと思った時に、『平成の大スターを、平成のうちに味わっておきたい』と思ったんですよ。それで、『平成の大スターって誰だ?』と考えたときに、『やっぱりSMAPだ、木村拓哉だ』と思った。昭和の大スターである石原裕次郎さんのように、平成を最初からトップで走り続けているのは木村くんだと思いました。もちろん、他にも多くのスターがいらっしゃいますが、同じ事務所で言えば、やっぱり木村くんなんです(笑)。平成元年から30年までトップで走り続けている人と、平成が終わる前に共演してみたい。そんな気持ちを強く持ち続けていたので、今回のお話を聞いた時は本当に嬉しかったです」

 本作は平成最後の夏の公開。ぎりぎりで二宮の希望が叶ったと言える。

 「ラッキーだったと思います。ここを逃したら一生ないかもしれない。その時代のスターと、その時代に共演できた人は、実はそんなにいないんじゃないかと思うんです。かつてのスターの豪快な話を聞いたりすると、伝説感がすごいですよね。僕もいずれ、後輩たちに飲みながら“平成の大スターとの共演話”を自慢してやりたいと思います(笑)」

■役に共感しない理由とは?「応援してくれる人たちに間違った印象を与えたくない」

 木村に「ずっと甘えていた」と語った二宮だが、演技に関する相談をするようなことはなかったそうだ。それはある意味、役者としての、先輩・後輩関係だからこその、“矜持”なのかもしれない。

 「これまでも大人の方々と共演してきたせいか、後輩の立場から(演技に対し)『僕はこう思っているけど、先輩は?』と聞くのは、あまり美しくないと個人的に思っていて。木村くんが主演の作品で、僕にも声をかけていただいたわけですから、足を引っ張らないことが大前提。そんな中で、『どうしたらいいんでしょう?』なんて聞いたら、『こいつ大丈夫かな?』と心配をかけてしまうかもしれない(笑)。それは、やっぱり違うと思うんです」

 演じた沖野についても、「あまり共感することはなかった」と言う。二宮の芝居に対するスタンスは、つねにフラットだ。

 「この役に限らず、僕は自分が演じる役にそこまで共感することはなく、わりと俯瞰的な立ち位置でいることにしています。僕のことを応援してくれる人たちに、間違った印象を与えたくない。だから、自分が演じる、お借りするキャラクターを深堀りすることがないのかもしれない」

→続く