1 陽花

【リアルサウンド】慎吾『20200101』インタビュー(前編)B

ーーそれにしても、本作に参加しているアーティストの方々は、ジャンル的にも世代的にも、実に幅広いものになっていて。ちなみに、いちばん最初に声を掛けたのでは、どなただったんですか?

香取:ええと……みなさん、大体同時期ぐらいですけど、面白かったのはSALUくんかな。向井太一くんの音楽がいいなと思って、MVをいろいろ観ていたら、向井くんの「空」という曲に、SALUくんがフィーチャリングされていたんですね。SALUくんには昔、「SKINAIRO」(SMAP 21stアルバム『Mr.S』収録)っていう僕のソロ曲の歌詞を作ってもらったことがあったから、「あ、SALUくんだ」と思って。それからSALUくんの新しい曲を聴いてみたら、やっぱりすごくいいなと思って、お願いしたんです。

ーーSALUさんがフィーチャリングされた「OKAY」という曲の歌詞の中には、〈「ほら好きな色に世界染めてやろうよ」〉など、かつてのソロ曲を彷彿とさせる一節も出てきますよね。

香取:あれは、まさにレコーディングしている最中に考えたんですよ。最初は違う歌詞だったんですけど、あまりしっくりこなくて。で、SALUくんといろいろ考えたり話し合ったりしながら、最終的にあのフレーズがいいんじゃないかって言って。そう、今回のアルバム制作は、それぞれのアーティストと、レコーディングも全部一緒にやらせてもらったんです。それこそ、ブースに僕が入って、向こう側にはそのアーティストの方がいてっていう。レコーディングが始まるギリギリまで、歌詞のことを詰めたりして。最後の最後まで、この歌詞のここがちょっと違うと思うけど、何かいい言葉はないかなとか、歌ってみたあとに、やっぱり違うんじゃないかって、もう一度別の言葉で録ってみたり。かなり密にやらせてもらいましたね。だから、今回のアルバムには、僕が好きなものしか詰まってないんです。いらない歌詞、いらない音が、ひとつも入っていないというか。

ーーたとえば、歌詞についてはどんなお話を制作中にしたんですか?

香取:自分では、ちょっと違うなあって思った歌詞も、フィーチャリングアーティストの方が、「いや、これはこういう理由で絶対入れたい」っていう希望があったら、そこでまたいろいろ話し合って、最終的に僕が納得したら、そのまま入れるパターンもありました。そう、yahyelと一緒にやった「Neo」という曲は、全部英語の歌詞なんですけど、そのサビの部分に〈Sometimes I feel like a TV star〉っていうフレーズがあるんですね。で、僕は最初、その部分はちょっと外したいって言っていて……というのは、僕、テレビスターなので(笑)。多分彼らは、洋楽とかによくある歌詞の言い回しのひとつとして、その言葉を書いてくれたんだろうけど、僕はテレビスターだから、自分で「テレビスターのようだぜ」って歌うのは、ちょっとどうだろうっていう(笑)。でも、そこは彼らが最後まで折れなかったというか、「だからこそ、今の香取さんに歌って欲しいんです!」って言ってきて。そこはホント、ギリギリまで話しましたね。

(取材・文=麦倉正樹)


(19/12/28(土)リアルサウンド)