1 陽花

【モデルプレス】剛『ミッドナイトスワン』インタビュー@

■草なぎ剛「僕自身で良い」トランスジェンダーの主人公を演じた思い “元気になれるメッセージ”も<「ミッドナイトスワン」インタビュー>

映画『ミッドナイトスワン』(9月25日公開)で主演を務めた俳優の草なぎ剛(くさなぎ・つよし/46)が、モデルプレスらのインタビューに応じた。これまで様々な役を演じてきた草なぎが今回挑んだのはトランスジェンダーの凪沙(なぎさ)役。どのように役に向き合ったか、表現者として今伝えたいことを聞いた。

◆映画『ミッドナイトスワン』

同作は、Netflix「全裸監督」が話題となっている内田英治監督による完全オリジナル脚本作品。心身の葛藤を抱え生きてきた凪沙と、親から愛を注がれることなく生きてきた少女・一果(いちか)の姿を通して“切なくも美しい現代の愛の形”を描くラブストーリー。

凪沙は故郷の広島を離れ東京、新宿を舞台に生きている。あるきっかけで親戚から預かった一人の少女と暮らす事になってしまった。母から愛を注がれずに生きてきた少女、一果と出会ったことにより孤独の中で生きてきた凪沙の心に今までにない感情が芽生える。一人生きてきた少女との出会い、自らの“性”の葛藤、実感した事の無かった“母性”の自覚を描く軌跡の物語。

◆草なぎ剛、“母性”の演技は「理屈を考えてもできることじゃない」

「この本に出会えたときから新しい世界が僕の中で広がっていて、読んだときに涙が溢れてきて、新しい感情だなと思えました」と作品との出会いを振り返った草なぎ。演じる上で一番難しかったのは“母性”。「僕の中で色んな役作りがあるとすれば“母になる“という役作りは今までやったことがなかったですし、理屈を考えてもできることじゃないのでそこはやりながら。樹咲ちゃんの目を見ると愛おしくなっていきました」と、オーディションで抜擢され今作で女優デビューを果たした服部樹咲と対峙していくにつれて、自然と芽生えていったと明かした。

「自分の母親の母性ってどういうものだったのかなとか。今までももちろん家族を大切に感じていたけど、より身近にある家族とか人に対して感謝しないと、と思った」と母性というテーマを演じる上で、自身の母親に思いを馳せという。

◆草なぎ剛、オーディションで抜擢された服部樹咲との共演

凪沙と一果、理解しあえるはずもない二人を繋ぐのが、バレエ。ストーリーは凪沙が働く新宿のショーパブで、白鳥に扮した衣装でバレエダンスを踊るシーンから始まる。やがてバレリーナとしての一果の才能を知った凪沙は一果のために生きようと思うように―――

「バレエはやったことがなかったので単純に足がすごく痛くて、冒頭のシーンは一人間違っちゃうと撮り直しになっちゃうから緊張しましたね。でも撮影の合間にも裏で皆が揃うタイミングで練習したりして楽しかったです。一果が踊ると一瞬でその場の空気が変わってしまうようなエネルギーがあったんです。凪沙が一果にどんどん感情移入していくのはバレエがきっかけだし、バレエがあることによって母性が目覚めてきたというのはあったかもしれない」

バレエ経験を前提としたオーディションで数百人の中から一果役を射止めた服部について「樹咲ちゃんは初めての演技だったので監督に演技指導をすごくしてもらって大変そうだったんですけど、僕はあんまり監督と演技については話さなかったのでこのままいけば良いんだなと思って、監督が上手い形で挑戦してくれて自然に樹咲ちゃんと距離が縮めていけたんじゃないかなと思います」と語る。

年齢を重ねて現場での後輩に対する意識も変わってきたようで、「周りを見ても監督も僕より下の人が増えてきたし、しっかりしなきゃいけないのかなとは思います。僕も上の方に引っ張ってもらって作品に出られているので、相手によって違うんですけれど、今回はどういう風にしたら彼女(服部)が良くなるのかな、とか。当たり前なんですけど自分だけ良くなっても作品って良くならないんです。大きな心で周りを見るというか、プラスになることがあったら教えてあげたいという気持ちは出てきたかもしれない」と自身を分析した。


続く→