1 陽花

【朝日新聞Telling】吾郎『Blume』インタビューA

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◆ファンの姿、より身近になった
――3年前にグループが解散して、新しい地図としての活動を始められました。

稲垣: 新しい地図として活動するようになってから、新しいことをどんどん始められるようになったと感じています。稲垣吾郎らしさは昔から変わってないけれど、環境を変えてスタートしたことによって新しい自分とたくさん、出会えました。

グループ活動を否定しているわけではないですが、やっぱり何十年も同じグループ・環境で仕事をしていると、少し凝り固まるというか・・・パターン化して自分のスタイルみたいなものが決まってきちゃう部分もありました。

これまではトークをしたり、司会をしたりといった機会が、少なかったんですよね。グループの中でポジションがあって、喋りが上手なメンバーがいたから。僕はいじられたり、得体の知れない存在みたいに扱われたりする場面が多かったです。

20代前半で作家の村上龍さんと対談したときに「稲垣くん、話聞くの大変上手だね」って言われたことが、すごくうれしかった(笑)。でも対談やインタビューはそんなにやってきませんでした。僕が話す番組は、TBSの『ゴロウ・デラックス』くらいだったかな。

グループじゃなくなったいま、パーソナリティや司会といった仕事をするようになり、僕にとっては新鮮ですね。ABEMAの『7.2新しい別の窓』という番組の中でも、色んな文化人と語り合うコーナーがあります。最近では9月25日公開の草g(剛)くん主演の映画「ミッドナイトスワン」の内田英治監督と対談しましたね。

――新しい地図として活動を始めてからは、ブログやSNSもやっておられます。

稲垣: ブログやインスタ、YouTubeを新しい地図では役割分担をしてやっていて、僕はブログ担当。始めてから、ファンの方々とのつながりを、より感じられるようになりましたね。テレビだと大勢のファンや視聴者は画面の向こう側。ネット上では一人一人コメントをくださり、それを僕が読める。一つずつ返信や「いいね」のボタンを押すことはできないんですが、一対一でつながっている感じがしています。

応援してくれる方々の“生きている姿”も感じられる。例えばライフステージがどんどん変わり、結婚、出産してお母さんになったりしながら、今でも応援してくれている女性のファンの存在も、僕らの方から見えるようになりました。

ファン同士のつながりも増えましたね。僕らが一つのプラットフォームみたいになってファン同士のコミュニティができる。本当に良いことしかないなって感じています。

だけど、僕らの主戦場はやっぱり生で、お客さんの前に立ってパフォーマンスをすること。ブログやSNS はその補足ですかね。いまはコロナの流行もあって、リモートでコンサートなんかもありますよね。色々と試行錯誤していかなきゃいけないと、思っています。

●稲垣吾郎(いながき・ごろう)さんのプロフィール
1973年、東京都生まれ。1991年CDデビューし、2017年9月まで男性アイドルグループ「SMAP」のメンバー。『稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ』(2005~09)や、映画『十三人の刺客』(10)などで活躍した。解散後は香取慎吾さん・草g剛さんと「新しい地図」を設立。主演映画『ばるぼら』が2020年公開されるほか、バラエティ番組『不可避研究中』、ラジオ『THE TRAD』『編集長 稲垣吾郎』、インターネット番組『7.2 新しい別の窓』などに出演している。


(20/10/3(土)朝日新聞telling)