1 陽花

『HERO』木村インタビュー@

■【ヒューマン】キムタクを変えた「HERO」

 SMAPの木村拓哉(41)が主演するフジテレビ系「HERO」(月曜後9・0、初回30分拡大)が、14日からスタートする。2001年1月期に放送され、社会現象にもなった人気連続ドラマの続編。木村は型破りの検事、久利生(くりう)公平を演じる。続編ドラマには初挑戦となる意気込み、視聴率に対する思いなど、“俳優・木村拓哉”の胸中を語ってもらった。

 「HERO」収録の合間を縫って、東京都内のスタジオで行われたインタビュー。サンケイスポーツがドラマの放送開始に合わせ、1週間にわたる特集企画を展開していること、そのラストの紙面を飾るのが木村のインタビューであることを告げると、「そうなんスか!? ありがとうございます」と、ほほ笑んだ。

 フジテレビのドラマ歴代最高となる平均視聴率34・3%を記録し、社会現象となった作品が連ドラとして13年ぶりに帰ってくる。「個人的にはびっくりしました。もう着地したものと思っていたので、もう1回飛び立つことになるとは思っていなかった」。木村本人も驚きの復活だ。

 これまで数々のドラマに主演してきたが、意外にも連ドラの続編は初挑戦となる。「これまでそういう話がなかったのも事実ですけど…」と前置きして、続けた。「続編的なものはやるものではないという、勝手な思い込みもあった。『やんねぇ、って言ってんじゃん』という自分がいたんですよね」。全力で1クールを演じきり、完結した物語を続編にして再び展開することに違和感を覚えていたようだ。

 そんな木村の考えを変えたのが、今作の「HERO」だった。「あれだけのスタッフや共演陣の方々が腰を上げてくれている中、主役とかではなく、その一要素として必要とされている自分が『ノー』ということで、前に進まなくなるのがバカバカしいと思った」。

 クランクインを迎え、雰囲気のいい現場に立つと、その思いはいっそう強くなる。「(これまでの自分が)よりダサく思えた。醜かったと思い返せる部分ではあります」と苦笑した。

 「やってもいないのに『できない』というのは、自分の中で一番のルール違反でした。それをやろうとしていた。“アブねぇ、アブねぇ”って感じでしたね」と白い歯をみせた。飾ることなく、素直に反省を口にするのも木村の魅力だ。

 物語の舞台、東京地検城西支部の中心メンバー9人中5人が新メンバーとなる。座長として行動に出たのは、クランクイン直後の4月末だった。自らの提案で、出演者を中心とした焼き肉パーティーを開催した。

 「僕の勝手なエゴです(笑)。オリジナルメンバーと新規メンバーという空気感はいらねぇなと思って、早いうちに無理言ってやらせてもらいました」

 新メンバーの吉田羊(よう、年齢非公表)は「ありがたかった」と感謝し、旧メンバーの小日向文世(60)は「あのパーティーは楽しかった」と満面の笑みを浮かべた。木村も「今は(新旧の壁は)ないですね。言いたいことを言い合っている。すごく自然です」と、“焼き肉効果”を実感していた。

 一体感あふれる現場で制作される注目作。前作の影響もあり、視聴率が話題になることは必至だ。“視聴率男”の異名を持つ木村にとって視聴率とは−。

 「う〜ん…なんだろう。非常に不思議なものかな、うん。もちろん、数字が高いと現場は活気づくけど、だからといって偉ぶるとか自慢することではない。見てくれた結果だから」。あくまで視聴者の反応によって生まれる数字と、冷静に受け止めている。

 「無視したいけど、無視はできない。でも『高いイコール“イェーイ!” 低いイコール残念!』というものでもない。(関わった)個人が何を感じるかは別として、低かったからといって、その現場は一切恥じることはないと思う」。口調は熱を帯びていた。

 前作を筆頭に、「ロングバケーション」(1996年)、「ラブジェネレーション」(97年)などフジの月9枠は、木村にとっての“指定席”でもある。「そこを言い渡されたときは、月9だからといって踏ん張るとか、力むことはないけど、そこは真摯(しんし)に受け止めないといけないかな、と思います」。自らも黄金枠の伝統を担っている自負を口にした。

 そんな木村が思うヒーロー像を聞くと、「どこか心地よい、爽快感を与えてくれる人。気持ちの良さを与えてくれる人かな」と返ってきた。さっそうと、時に泥臭く事件を解決する久利生。どんなキャラクターでもスマートに、熱く演じ、見る者を魅了する木村拓哉。どちらも紛れもなく“HERO”だ。