1 陽花

少年隊ニッキ、後輩のSMAPを尊敬

■輝き続ける“ニッキ”錦織一清、SMAPを「後輩だけど尊敬」

 俳優や歌手だけでなく、近年は演出家としても活躍する少年隊の錦織一清(51)。現在は舞台「おたふく物語」(東京・日本橋浜町の明治座、25日まで)に出演中で、10月には演出舞台も控える。昨年、少年隊としてデビュー30周年を迎え、個人としては来年でジャニーズ事務所入所40周年に突入。アイドル時代、ニッキの愛称で絶大な人気を誇り、今も第一線で輝き続ける男の舞台への情熱、原点である少年隊への思いに迫った。

 20歳でデビューしてから30年が経ち、50代に突入した少年隊・錦織。1年半ぶりに出演する舞台の話をする顔は今もなお、少年のように輝いていた。

 「僕はツキがあるらしく、演出の仕事が続いて、芝居の仕事をやりたいなと思ったときにお話をいただける。お芝居と結婚式だけは『出てくれ』と言われないと出られないですから」

 TBS系「渡る世間は鬼ばかり」を手掛けたテレビプロデューサーで演出家、石井ふく子さん(90)からオファーを受けた出演舞台「おたふく物語」は、江戸の下町に暮らす庶民を描いた人情物語。石井さんの演出舞台は2008年の「エドの舞踏会」以来2度目で、主演女優、藤山直美(57)演じるおしずが思いを寄せる彫金師・貞二郎を好演している。

 役者としてはもちろん、演出家としても石井さんから学ぶ日々だ。「舞台の花道や効果音の使い方がものすごくうまい。先生は90歳だけど、どんどんグレードアップしている」と進化し続ける姿に脱帽する。

 8月は同舞台と、今年5作目の演出作「ABC座2016」(東京・日生劇場、10月5〜27日)の稽古を並行。売れっ子演出家になったのは、少年隊の代名詞ともいえるミュージカル「PLAYZONE」がきっかけだった。

 1977年に12歳でジャニーズ事務所に入所した錦織は、東山紀之(49)、植草克秀(50)と少年隊を結成し、85年に「仮面舞踏会」でレコードデビュー。86年から少年隊主演で初演され、08年まで続いた「プレゾン」が演出家・錦織の礎となった。

 「23年間毎年やって照明の当て方とか、勉強になった。僕の人生の中でも一番大きかった」。最初は1人の役者として夢中で演じるだけだったが、公演を重ねるにつれ、ジャニー喜多川社長(84)から演出を任されるように。トップアイドルとしてメンバーそれぞれが力をつける中、錦織は演出のとりこになっていた。

 故つかこうへいさんにも薫陶を受け、95年の「プレゾン」で演出家デビュー。12年から演出家として本格的に活動するようになり、年に2本以上の作品を手掛けてきた。

 しかし、今の地位があるのも、少年隊での活躍があってこそ。「『少年隊の錦織』と自己紹介したときに、少年隊という名前を認識していただいていることが多い。名刺代わりになっている」と原点を忘れない。

 少年隊を結成して30年以上。グループの危機は一度もなかったという。

 「僕らは、味覚も性格も全く違う3人。合コンでタイプの女の子が同じで、もめちゃうようなことがない。取っ組み合いのけんかもしたことがない」とそれぞれの個性を尊重してきた。

 「楽器に例えると、ヒガシがリズムやベースラインをキープしてくれるベースギター。僕は目立ちたがりだから、ヒガシのベースに乗っかるリードギター。植草は間に入って穏やかに音をミックスさせる鍵盤楽器」と魅力が違うからこそ、唯一無二の“ハーモニー”が生まれた。

 事務所の後輩で年内解散を発表したSMAPについて聞くと「後輩だけど尊敬している。到底僕なんかには想像もつかない何かがあったんだと思う」とグループ活動の先輩として思いやった。

 少年隊は現在、ソロ活動が中心。3人での仕事は08年の「プレゾン」以来、遠ざかっているが、「腰の曲がった3人がなんとなくステップを踏んでいたらかっこいい。『おじいちゃんたちが踊るの!?』って子供たちをびっくりさせたい」と“復活ステージ”を楽しそうに想像する。

 おじいちゃんになっても少年隊・錦織はあっと言わせてくれるはずだ。

★舞台「おたふく物語」出演中

 「おたふく物語」で、主演の藤山から思いを寄せられる男を演じる錦織は「僕はあまり惚れられないから、『惚れられる芝居をしてください』って言われても難しいよね」と苦笑。少年隊で唯一の独身だが、「離婚はしたくないから、『ちゃんとした人を』と思っていたら、探しあぐねてこの歳になっちゃった。慎重すぎたのもある」と自虐的に笑わせた。

錦織一清(にしきおり・かずきよ)
 1965(昭和40)年5月22日生まれ、51歳。東京都出身。77年、ジャニーズ事務所入所。82年に東山紀之、植草克秀と少年隊を結成。85年に「仮面舞踏会」でレコードデビュー。NHK紅白歌合戦に86年から8年連続で出場。ミュージカル「PLAYZONE」に86年から2008年まで23年連続で少年隊として主演。95年に「プレゾン」で演出家デビューし、「熱海殺人事件」「寝盗られ宗介」などを演出。


(16/9/3(土)サンスポ)