1 陽花

【報知】スマスマ最終回@

■SMAP、日本中から「ありがとう」…サプライズなし

 大みそかで解散するSMAPの名物番組「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)が26日、1996年4月15日から20年9か月の歴史に幕を下ろした。この日が920回目。NHK紅白歌合戦を辞退して5人が選んだ“ラストステージ”。事前収録された5人で歌う「世界に一つだけの花」でフィナーレを飾った。最後までメンバーから生のメッセージが発せられることはなく、あまりに寂しい終焉(えん)となった。番組には解散を惜しむファンからメッセージが殺到した。

 もともと特別なOnly one―。力強く拳を握って締めくくった中居正広(44)が涙ぐむ。歌い終えた5人が深々と頭を下げ、そのまま幕が下りた。再び幕が上がると、中居は後ろを向いて涙を拭った。残る4人は前を向いたままだった。

 もう二度と、この5人が肩を並べることはない。20年9か月続いた番組のフィナーレを飾った、5人が歌う「世界に一つだけの花」。今月1日に収録したものだ。スタジオの拍手、そしてスタッフと記念撮影をしながら進むエンドロールが、むなしく映し出された。

 920回目の放送は、タイトルに「最終回ありがとうSMAP」と添えられた。番組が東京・台場の本社内に設置した20台のFAXは、メッセージを締め切る午後10時45分まで、休むことなく動き続けた。だが、それに応える5人は、そこにいない。歌唱シーンの前に一言だけ映し出されたメッセージ。「スマスマ20年、そしてグループ活動28年、みなさまの気持ちに、深く感謝いたします。ありがとうございました。SMAP」。たったこれだけだった。

 本社と湾岸スタジオには、生出演に一縷(る)の望みを抱いたファンの姿もあった。都内では有志がラッピングバスを走らせるなど、全国で国民的グループを支えたファンが盛り上げようとしながら、番組は淡々と過去の映像が流されるだけ。通常の総集編のようにスタジオで映像を見る5人の姿も、全て過去のもの。これが全放送の平均視聴率18・1%を誇る人気番組の最後だった。

 1月13日に独立・分裂の動きが表面化して以降、日本中を巻き込んだ騒動となった。5人の意見は、全てにおいて一点に交わることができないまま解散を迎えるが、19日には連名でNHKに「『SMAP×SMAP』を自分たちのラストステージとさせて頂きたいという想いに至りました」と手紙を送った。この日のラストステージだけは5人の一致した考えだった。最終回の生出演を望んだメンバーもいた。一貫して存続を望んだ木村拓哉(44)と“SMAP愛”が一番強いと言われる中居。所属事務所も番組も粘り強く5人と交渉したが、実現しなかった。

 02年1月14日に放送された稲垣吾郎(43)の不祥事による謹慎から復帰したときの番組は、歴代最高視聴率34・2%を記録した。27日に明らかになる視聴率も注目されるが、高視聴率を記録したときは、いずれも5人の生の姿が画面の中にあった。今後まだ、しばらく余韻を引きずることにはなるが、大みそかの解散まで、あと4日。メンバーはひっそりと、あまりに大きな看板を下ろす。

◆スマスマ最終回…森脱退、稲垣・草ナギ逮捕“タブー”解禁

 5時間にわたる総集編で、“タブー”もふんだんに盛り込まれた。01年に稲垣吾郎(43)が公務執行妨害と道路交通法違反(駐車禁止)で現行犯逮捕され、09年には草ナギ剛(42)が公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された。この2つの事件はSMAPの歴史の“汚点”となっているが、稲垣については復帰したときの番組だけでなく、逮捕当時のニュース映像を使い、謝罪会見の様子も放送された。

 デビューから25年、トップアイドルの座にいながら、ずっと順風満帆なわけではなかった。スマスマ第7回放送(96年5月27日)では、森且行(42)が脱退を表明した。現在はオートレーサーとして活躍。14年7月に「27時間テレビ」内で放送された「ノンストップLIVE!!!」では、ライブ後にメンバーにサプライズで森からの手紙が読まれ、このときも映像が流されることはなかったが、この日はオープニングの約10分を使って、6人で涙しながら歌うシーンなどで当時を振り返った。

 今回の総集編制作にあたり、番組側は「メンバーの皆さんとスタッフで一番良い形とは何か、話し合いを重ねた結果、この形になりました」と説明した。メンバーの生出演はかなわなかったが、5人も納得の上で不祥事にかかわる映像を使用した。

続く→