1 鈴木♂

「S」の正体

昔から疑問だったのですが最近やっと答えが分かり始めた事を書きます。

本来の意味ではS男性つまりサディストならば女性を苦しめる事に
よって快感を得る筈です。
しかし現実的なSM行為に於いては苦痛や羞恥を受ける事により快感を
得るM女性を相手にプレイをするのですから、相手に苦痛を与える
というより快感を与えてしまう結果となります。

これって「S」本来の意味、サディストとは大きく異なるのでは
ないでしょうか?
しかし現実的にはお相手さんを上手く責められて、プレイ後に感謝の言葉を
貰うと嬉しい自分が居るし、このM女性をこういうプレイで責めたら
彼女は喜ぶんじゃないかな?と考えたりする自分がいます。

自分は確かにS傾向にある人間だけど本当にS=サディストなのかな?
Mとは言えども女性を結果的に喜ばせて、その喜びを自分の喜びとする
サディストなんておかしいのでは?という事を私は長年考えていました。
(PC)
2 鈴木♂
私が最近読んだ濡木痴夢男氏の著作「奇譚クラブの絵師たち」という文庫本に
その答えのヒントらしき文章が書いてありました。
濡木氏は奇譚クラブ時代に書かれた小説の事で警察に検挙されて取り調べを
受けた経験があります。
その取調べ室で濡木氏は刑事に
「あんたらは女に焼け火箸を押し付けたりして楽しむんだろう?」
と偏見に満ちた言葉を浴びせられたそうです。
SM小説を書いたりSM雑誌を発行する事自体、逮捕の危険性がある
という暗黒の時代でした。
当時はSM愛好家という人種は変質者であり、性犯罪者予備軍であると
世間から目されていた時代です。
でも現実的にはSM愛好家のS男性の多くは私を含めてM女性を緊縛し
彼女たちが快感を得る事を喜びとする人たちです。
陰湿な性犯罪者ではありません。
以上の事から推測される結論はサディストという本来の意味の性癖を持つ人と
現実的にSM行為を行う「S」とは明らかに異なるという事です。
(PC)
3 鈴木♂
濡木氏という方は過去に多くのSMビデオに縄師として参加して
撮影現場に立ち会いました。
延べ五千回以上の撮影現場に立会い、四千人以上の女性を縛ったという
ギネス物の人です。
彼が撮影現場で冷静に他のスタッフ、特にカメラマンを観察していると
98%位のカメラマンはモデルさんがS役に責められて良い表情を見せると
喜ぶそうです。
ところが残り2%位のカメラマンはモデルさんが責められて快感の表情を
見せると残念がるそうです。
濡木氏はこういう人が本当のサディストではないのか?と書いています。
では私や濡木氏を含めた世間一般で言う「S」の正体とは何なのでしょうか?

濡木氏はそれを「(SM)ムードマニア」とでも呼ぶべき存在、と書かれています。
今は「S」=サディストという見解が世間一般での常識ですが
いつか「S」≠サディストという見解が少しずつ広まるのかもしれませんね。
きっとカタカナ好きの日本人の事ですから、その頃には新しい名称が「S」の
変りに現れる様な気がします。
(PC)