1 鈴木♂

濡木氏の新作

『「奇譚クラブ」の絵師たち』以来、二年ぶりの新作となる濡木痴夢男氏の著作
がこの度発売される事になりました。

  『「奇譚クラブ」とその周辺 』 濡木痴夢男著 河出文庫

             6月6日発売 税込み定価725円 河出書房新社

本の内容は題名の通り「奇譚クラブ」というか濡木氏がSM小説家&編集者として
過ごした昭和20〜50年代の日本の戦後SM史の本になると思われますが、前作で
文庫本とは思えない内容とボリュームで日本の戦後SM史を語った濡木氏の事です
から、今度の新刊も期待が持てるのではないかと鈴木♂は思います。

河出文庫の「奇譚クラブ」シリーズは今までに「奇譚クラブの人々」、「奇譚クラブの絵師たち」と二冊出ておりますが、この二冊を精読してみると鈴木♂が今までに点でしか断片的に分からなかった日本の戦後SM界の実相というものが、初めて線で繋がって目から鱗がポロポロと落ちる思いでした。
濡木氏も最早七十代の後半という御高齢の方ですが、ずっと日陰者扱いというか
隠されてきた日本の戦後SM界の貴重な生き証人ですから、これからも日の目を
見ずにいた日本のSM史というものを著述で証言して戴きたいと思います。

正直言いまして上記二冊の「奇譚クラブ」シリーズは、マニアだけではなく一般
の方にもかなり売れました、噂によると売店に置いてあるという美術館もあるのだ
そうです。
それを考えてみると日本も芸術(アート)や文化史という面でSMというものを
捉えられるという時代になりつつあるのかもしれませんね。
(PC)