1 鈴木♂

本当の言葉と偽りの言葉

今から三年位前に縄師の明智伝鬼氏がオランダ・アムステルダムにある
SMクラブ「ドマ」に招かれて緊縛ライブを行った時のお話です。

このドマというSMクラブはロンドンのトーチャーガーデンと並ぶ
欧州というよりも世界でも指折りなSMクラブで、かつて国際法廷で有名な
ハーグにありましたが現在はアムステルダムに引越しをしております。

明智氏が緊縛ライブを行った時、現地オランダのSMカップル(というか縄師)
が前座としてSMライブを行いました。
同業者でもあり同じ道を歩む者同士ですから明智氏とその二人はライブ
終了後に親しく会話をしたそうです。
その中での会話なのですが、その二人が私生活でプレイを行う時は
ある特定の言葉をあらかじめ決めて置いて、それを使うのだそうです。


どんなM女性でも全てのプレイを受け入れられる訳ではありませんし、
その日の体調などによって出来ないプレイや、したくないプレイもあります。
しかしプレイ中にM女性がNee(ネー:オランダ語のNO)と言っても
プレイを盛り上げる為に演技として言っている場合もあるので、S男性としては
本当のNeeなのか、偽りのNeeなのか区別できません。

その結果、二人はプレイを盛り上げる為に演技として使う「ダメ」と
本当にして欲しくない場合に使う「ダメ」という二種類のオランダ語の単語を
予め決めておいて、プレイをする時に使うのだそうです。

「奇譚クラブの絵師たち」の中で濡木痴夢男氏も「SMマニアという人たちは
お芝居が好きな人が多い」と述べられておりますが、私も本当にそうだと思います。
ちなみに鈴木♂という人は結構、淡々とプレイする人なので傍から見ると
退屈そうに見えるかもしれませんね(笑)。
(PC)