25 (`o´)日研社員は全員死ね
深夜、神無月邸にて

コン、コン、と。
誰かが遠慮がちに私の部屋の扉をノックした。

「葵ちゃん……まだ起きてる?」

鈴の音を鳴らしたような可愛らしい声。
私が扉を開けると、そこにはマクラを抱いた遥さんが立っていた。

「どうかしましたか?」
「……えっとね、ちょっと怖いテレビみちゃって。一緒に寝てもいい?」

遥さんはモジモジしながら恥ずかしそうに尋ねてくる。
困った顔をしているから何かと思えば、添い寝のお誘いってわけ。

「遥さんなら大歓迎です。寒いですから、早く布団に入りましょう」

そう言って私は遥さんを部屋に招き入れる。
昔はいつも一緒に寝ていたし、今日みたいなことも珍しいことではない。
理由はどうあれ、遥さんの可愛い寝顔が見られるだけで私は嬉しかった。



「……すぅ、すぅ」
「ふふ、もう寝ちゃったんですね」

毎日の部活で疲れているのか、遥さんは布団に入るとすぐに規則正しい寝息を立て始めた。

「ツインエンジェル……遥さんは本当に、天使みたいに可愛いです」

彼女の頬にそっと手を当てる。
くすぐったそうに眉を動かす仕草も最高に可愛くて、私の目はもう釘付けだった。
下ろした髪からは甘い香りがして、顔は息がかかるほどに近い。

私は……遥さんが好きだ。
側にいるとドキドキするし、もっと触れ合いたいと思う。
今だって、二人きりで思うままに愛し合いたい。
……だけど、それは叶わないってこともわかってる。
女の子同士だし、何より遥さんには好きな人がいるのだ。
その人はすごく素敵な方で、私は遥さんの恋を応援しようと決めた。
自分の思いは叶わなくとも、遥さんが幸せになれるならそれでいい。

……それでいい……はずなのに……。

「は、遥さんがいけないんですよ? こんなに……無防備だから……ちゅっ」

まるで何かに操られるかのように、私は遥さんの唇にキスをした。
ドキドキしすぎて正直感触なんてわからない。
遥さんのファーストキスを奪ったという事実だけで、私の心臓は今にも破裂しそうだった。

「……ダメ、もう我慢できません……ごめんなさい、遥さん……」

遥さんが起きていないのを確認しては、何度もキスをする。
好きな人の唇はやわらかくて甘くて、痺れるような刺激に私の思考はどんどん麻痺していった。

「ちゅっ……んっ……んちゅっ……」

最初はついばむようなキスだったのが次第に長く深いものになっていき、
そのとろけそうな感触に、私はもう夢中で唇を重ねた。

「ちゅぱっ、ちゅるぅ……んちゅっ、ちゅっ……」

それでも起きない遥さんを見て私は調子に乗っていたのだろう。
遥さんの閉じた唇を開こうとして、舌を押し進めたその時だった。

「…………!?」

目を見開いて驚いている遥さんと、ばっちり目が合ってしまったのだ。

あんまエロくないし百合物ですけど、需要があれば続き書こうと思います