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 お初にお目にかかります。五、と申します。
 呂布の武勇についてですが、私が思うに、その武技よりも度胸の点で優れていたのではないか、と思いわれます。         日本の戦国時代、合戦の論功行賞を決める時、必ずあるのが『一番槍』という功績です。読んで字の如し、真っ先に敵陣に槍を入れた人物を指すのですが、この一番槍、中々できそうでできない功責なのです。 考えてもみてください、一番先に槍を入れるという事は、一番先に死ぬ可能性が高い、ということです。つまり、『一番槍』とは、その武者の武勇ではなく、度胸を誉め称える為のものなのです。
戦場の恐怖は、三国も戦国もかわりありますまい。馬中の赤兎と言われる名馬に乗り、敵中に真っ先に突っ込む・・・味方にしたらこれ程頼もしい味方はなく、敵にしてもこれ程嫌な敵はいない。これが、呂布の武勇の正体ではないかと、私は思います。
(P902i/FOMA)