43 巫俊(ふしゅん)
>>35
筑摩書房の『正史 三国志』シリーズ、ちくま訳と略称されています。
ちくま訳の特徴は意訳が多いということです。漢文(古典中国語)を読んでいるとしばしば主語を欠いていたりフルネームを欠いた文章に出くわします。
或いは目的語がまったく書かれてなくて主語と動詞だけの文章なんかもあったりします。
ちくま訳はこうした点に留意して現代日本語で意訳しているので漢文初心者でも安心です。

赤龍さんがおっしゃるように非常に便利ですが、幾ら現代日本語に訳されているといっても歴史書としての構成は古典中国語の漢文と同じです。
赤龍さんが心配されてるのは、高額だからということもありますが、興味を持って持続的に『三国志』を読み続けることができるか?という点であると思います。

ただ、私の考えとしてはちくま訳は平易である訳ですし、皇澪桜さんも呉については広範な興味を持っておられるようなので、読むこと事態は問題ないんじゃないかと思っています。

持続して読むコツは、その日読書する際、興味があって調べたいことをしっかり意識して読んでいくことですね。
漫然と読んでいると、飽きてくる人がいることも確かです。
訳本を目の前にして、自身が何をしたいのか、三国志に何を求めているのか、考えることが大切です。

そしてちくま訳も正確さという点では完全なものではありません。
とくに語訳は目立ちます。黄権の事績が孫権の事績として誤訳されていたり、顧雍の年齢を10歳若く誤訳していたりします。
しかし、ちくま訳の他に『三国志』を完訳したものはなく、ましてや三国末期の人物の事績を多く載せる正史『晋書』は日本語訳が刊行されていません。

つまりちくま訳は相当に貴重なんです。
都道府県によっては、県内の他の図書館にある図書を最寄りの図書館まで届けてくれる制度を整えていることもあります。
私の住む三重県では地元の市にはちくま訳がありませんが、三重県立図書館には置いているのでしばしば取り寄せてますよ。

あと、『世界古典文学全集』シリーズというものを筑摩書房が出していて、もう絶版だと思いますが、文庫版のちくま訳は『世界古典文学全集』の三国志の巻(全三巻)を八巻に分けて収録したものです。
(PC)