44 蛮犬
鮑クン 字は叔業。 泰山郡平陽県の人。 鮑信の子。父の功績により丞相の掾となった。217年、曹丕が太子に立てられたとき、太子中庶子となった。魏郡西部都尉のとき、曹丕の夫人郭氏の弟がお上の布を盗んだが、曹操と曹丕に何度も手紙を宛て、免罪を請うた。 以前より鮑クンは公正な態度をとったので、曹丕の怒りと憎悪を買い、些細なことで彼を左遷し、疎んだ。 そして鮑クンが悲劇の最期を遂げるきっかけとなった事件が起こる。大守の孫ヨウが完成途中の陣営保塁を横切ったが、完成間近だったので、不問に付した。このことを別件で罪に問われていた劉曜が密かに上奏したのだ。皇帝となった曹丕は鮑クンを死罪にしようとしたが、鍾ヨウらは彼の父は曹操に功績があったとして罪を許されるよう願い出たが、平素より鮑クンを憎んでいた曹丕が耳を貸す筈もなく、226年、処刑された。阿諛追従を良しとせず、節操高い態度は心を打つものがあり、大いに評価されるべきであろう。
(W21S/au)