57 大伴
ではこの時の苟イクの発言内容を個々にみてみましょう。

「兵は多いが軍法が未整理」
これは問題ありません。事実苟攸はこれを利用し、文醜の陣形を乱しています。

田豊、許攸、審配、逢紀の性格的欠陥を述べる
これは問題です。確かに敵の指揮を担う者の気質を知る事は重要ですが、敵の性格的欠陥を則勝ちに結び付ける事は大変危険です。特に内通すらしていない者が「必ず裏切る」というのは楽観が過ぎます。勝利の根拠とするには甚だ疑問です。許攸の家族が罪を犯すという前提も、あやふやです。又、今ある情報の確かさに疑いを持っていない事にも危険があります。敵の人事を全て知っているという傲慢が感じられます。

「顔良と文醜は、簡単に生け捕りにできる」
苟イク伝に、「苟イクの予想したとおりになった」と続きますが、簡単だったでしょうか?


ここで話されている内容は、ほとんどが軍事的根拠に欠けるか乏しい事ばかりです。無論孔融相手に勝利の秘策を披露する必要はありませんが、声高に勝利を唱えるならば、もう少し具体的な根拠を唱えるべきなのでは無いでしょうか?


彼はどこを見てもそうなのですが、全く具体的な事は述べません。
(F2102V/FOMA)