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確かに、戦術の解説書たる兵法書には、見る視点によって様々な見方が出来るものが沢山あります。
ただ、やはり街亭の戦いにおいて馬謖軍が山の上に陣を張ったのは間違いでしょう。
理由第一:戦術において最も根本的・基本的な事は『いかに敵より多い兵を集めるか』にあり、その点で馬謖軍はすでに戦いが始まる前から勝利に遠い。
理由第二:山の上というものは、えてして水不足に陥りがちであり、水の不足は士気の減退に直結する。
理由第三:兵書にはよく『地の利は山にある、先に山を獲った方がいい』と書いてあるが、地の利は各々の戦場の数だけあると言っても過言ではなく、その兵書の言葉を鵜呑みにするのではなく、いかに応用するかが重要である事。
理由第四:敵である魏の将軍張コウは名将の部類に入る武将であり、これ程の敵と戦うならもっと(あえて勝ちではなく引き分けを選ぶ程の)慎重さを持つべきであり、馬謖はその点自分の才に自信を持ちすぎていた。(自信の持ちすぎは身の破滅を招く。武田信玄も勝ち過ぎはよくないと言ってます)

以上の点で、山の上の布陣は失敗だったと思います。
(P902i/FOMA)