1 陽花

【Yahoo!ニュース】木村インタビュー「待っている約束がある」A



――木村さんからもいくつかの演技プランを監督に提案したと聞いています。

採用されたものもありました。せっかく共同作業をさせてもらう機会だし、原田組の常連の俳優の方々が、本番前からそういうトライをして、監督がそれを受け入れている様子を見ていたから、自分も言ってみたほうが豊かな現場になるんじゃないかと思った。

最上は、法をつかさどる立場でありながら“罪人”へと堕ちていく。“検察側”の“罪人”として抱える矛盾や葛藤を、木村は表情の機微によって丹念に演じている。

最上は表面的には感情の起伏があまりないんですが、メンタルの奥のまた奥で、激しいアップダウンを繰り返しているという役柄ですね。

――目には見えないアップダウンをどう演じましたか?

自分はそこで「こう演技した」と説明できるほどの表現者ではないです。先日、一般の方々向けの完成披露試写会を終えた時も、ネットを開いたら、「俺は原作の大ファンだけど、やっぱ木村には無理でしょう」みたいな一般の方からのコメントが目に入って、「ですよね」と思ってしまった。それに言い返せない自分がいて……。

――認めちゃうんですか?

いや、自分の仕事に自信がないわけじゃなくて、きっと原作の読み手の数だけ何通りもの最上が実在していて、答えは“無限大”だと思うから。でも、それを演じるからこそ面白いんですけどね。

――初共演の二宮さんの演技については?

「素晴らしい」の一言です。胸を張って皆さんに紹介できる後輩というか。多くの人の目にはジャニーズ事務所の先輩/後輩として映ってしまうかもしれませんが、それを抜きにした“一共演者”として、本当にお薦めです。

時効や冤罪(えんざい)といった問題を経由しながら、物語は最上と沖野の対立と葛藤を通して、正義の本質、人が人を裁く行為の是非を観客に問い掛ける。

“正義”と“不正義”という二つの札があったとして、観てくださった方がどちらを挙げるか、人それぞれだと思う。いま世の中では人為的な嫌なこと、悲しいことや、自然発生的な不幸なことも起きています。決して明確な答えを出さない映画だけど、「今がどんな世の中か、いったん冷静になって見渡してもいいんじゃないですか」という投げかけはしているんじゃないかと思います。

既存のアイドル像を打ち破った国民的アイドルとして知られる木村。18歳でデビューしてから今日まで、その存在はメディアに注目され続けてきた。そんな木村も、日常のなかでごく普通にニュースと接している。

朝、起きたらとりあえず携帯でニュースを見ています。まず「主要」を見て、次に「エンタメ」のカテゴリをさっと見て。それから新聞を読みます。新聞をバサッと開いて、「あ、ネットでは下のほうだったのに、ここでは一面なんだ」みたいな感じで。

――最近のニュースから感じることは?

“ダメ(なこと)”がたくさんバレ始めていると感じます。最上を演じている間も“因果応報”という言葉について考えていたんですが、いくつかの問題を見ていると「ダメなものはダメ」という民意がより強くなってきた気がしますね。