1 陽花

剛が『ORICON NEWS』インタビューでこの一年を総括A



■「この1年を肯定しながら、この先に進む勇気ももらった」パリで誓い合った3人

――AbemaTVの月1生放送『7.2 新しい別の窓』(『ななにー』)あり、この『ムタフカズ』あり、ドラマや舞台、ユーチューバー、パラリンピックのサポーター等、精力的に活動していますね。
【草なぎ剛】スタートした時点では、どうなるかわからなかったんです。でもこの間も、慎吾ちゃんのルーブルの個展に駆けつけるという名目でパリに行けた。その時は、「方向性はこれでいいんだ」と、仕事が思わせてくれた気がしました。ずっと前から慎吾が暇さえあれば絵を描いていることは知っていたけど、それにしてもルーブルなんて‼ 常識からはみ出した作品でも堂々と飾られていて、アートの力にすごく感動しました。『ムタフカズ』もそうだけど、国境だけじゃなく、常識とか偏見とか、人間が抱えるいろんな垣根を超えられるんだから、アートやエンタテイメントの力ってすごいなと。パリには(稲垣)吾郎さんも一緒に行ったんだけど、あらためて3人で「これからも頑張ろうぜ!」って誓い合った。この1年を肯定しながら、この先に進む勇気ももらった。いい記念の旅になりました。

――素敵ですね。
【草なぎ剛】なんて言いながら、日本に戻れば目の前にあることに必死なんです。今はこの『ムタフカズ』の公開があり、その次の舞台(12月に日生劇場で始まる『道』)のことで頭がいっぱい。昔からそうなんです。目の前にあることに完全燃焼しながらここまできた感じ。

■「何をベストと考えるかは本人次第」、原動力は仕事が好きという気持ち

――そういう“必死感”を変わらず保ち続けていることが、草なぎさんの魅力の一つだと思います。
【草なぎ剛】春にやった舞台(『バリーターク』)も、汗だくだったし必死でした。毎日、この舞台が終わったら死ぬんじゃないかと思ってた(苦笑)。そのくらいハードだったんです。でも舞台って、お客さんがわざわざ足を運んでくれる場だから、ちょっと現実逃避できるというか…。

――そういえば『ムタフカズ』も、『バリーターク』同様にユートピア(理想郷)の逆の“ディストピア”が舞台。絶望世界のような、過酷なほうの非日常が描かれています。
【草なぎ剛】いいですね、ディストピア。僕、そういう世界観が実は好きなんです。現実とは違う場所で、人間を演じるのが好きなのかもしれない。今僕らがやっている活動では、『ななにー』などはユートピアですよね。そう考えると、この1年は両方ができてバランスが良かったのかな。普段の僕がいて、どこかに行くたびに冒険している感じになった。新しい地図を持ってね。

――新しい地図を広げて歩み出してちょうど1年。新たなことに挑戦する原動力になっているのは何ですか?
【草なぎ剛】やっぱり、この仕事が好きなんだろうなと思います。仕事を通しての冒険が好きなんでしょうね。あとはもちろん、僕たちの活動を待っていてくれる人がいることも、ものすごく頑張るエネルギーになっています。誤解されると嫌なんだけど、物事は“長く続けることがベスト”というわけでもないと思うんです。何をベストと考えるかは、本人次第じゃないですか。『ムタフカズ』のアンジェリーノが、流れ星を見た時に「納得する自分になりたいよ」と呟くんですが、この台詞は何か印象深かった。僕自身、無意識のうちに強く共感していたのかもしれないですね。彼の言うとおり、誰もが納得できる自分でいたいんだと思う。そのために、もがいたり決断したりするんじゃないかな。それは、僕も同じです。


(18/10/10(水)ORICON NEWS)