彩 愛 美 詩歌集

過去ログ212 2015/12/9 23:32

▼彩 愛 美
路傍の愛

ストリップディスクの ざらついた画面が
今の二人の 恋に似ているわ
保護ケースを外され テーブルの上に
放置され埃に塗れて やがて傷だらけに

どんなに愛して 手に入れた恋でも
その後のケアを怠れば 簡単な程に
直ぐに磨り減って ボロボロになる

どんな宝石だって 磨かなければただの石コロ
輝けない愛なんて 意味も無い


自販機のジュースのように 簡単な程
誰にだって直ぐに 手に入れられる
何処にでも転がっている ありふれた恋
別に珍しくも無いから 大切にもしない

何の苦も無く 手に入れた恋なら
何時だって代わりくらい 直ぐに見付かるもの
そんな恋なんて した覚えも無い

あなたがどうだって 私にすれば希少な恋
これからまだ輝きを 放つのよ


恋はコレクションじゃ無く 生きているもの
きちんと育てて行かなければ
生き続ける事なんて 出来はしないわ


恋は月のように自ら 輝けはしないもの
太陽があればこそ 輝けるのよ



2015/12/9 23:32
HP

▼彩 愛 美
開かずの引き出し

小学生の頃から
ずっと使って来た机
引き出しの中で
長い時間
開ける事も無く
眠ったままの想いを
何時開くとも
解らぬままに

もう
失くしてしまったと
諦めていて
探す事すら
しなくなったけど
この引き出しの
暗い奥深くには
長い時間
触れる事も無く
眠っている
想い出が詰まっている

歳を重ねる度に
新しい知識や想い出を
次から次へと
無理矢理にも
詰め込んで来たから
最初に何を
大事に入れたのかなんて
もう覚えてはいない
再び取り出すのが
楽しみなような
怖いようなとかで
開ける事が出来ない
鍵の掛かった
開かずの引き出し


2015/12/6 23:27
HP

▼彩 愛 美
失くした恋と雨の朝

雨の音が 記憶を絡めて
自分の居場所さえ 解らなくなった
暗くて夜が明けた事も 気付かずに
何時もよりもずっと 遅く目覚めた

もう今からじゃ 完全に遅刻だねと
仮病を使って 仕事をズル休み
平日にこうして 何もしないでいると
改めて自分を 見詰め直せる

落としてしまった 恋の単位重く
追試も無いまま 一夜を明かした


何も食べたく無い はずなのに
自分の想いに反し お腹が空いた
仕方無しに残り物を 漁るように
冷蔵庫の中身を 引き摺り出した

お昼が近いわ 簡単に済まそうと
テレビ傍らに 手抜き料理をする
空っぽのお腹と 頭を抱え込んで
笑えないジョークに 苦笑い

普段は嫌な 雨が今日だけは
一番心を 慰めてくれる


ぐったりとした心に 栄養が足りない
明日は幸いにも土曜日 お休み出来る


鳴らない電話と 降り止まない雨と
どちらが救いかは 明らかだった



2015/12/2 23:33
HP

▼彩 愛 美
退 屈

正方形の部屋で 長方形の僕が
丸くなって 寝転んでいる
何にも無い 部屋の中で
鳴るはずも無い 携帯を抱いて

観覧車のように 同じ場所で
上へ下へと 回り続けている

正方形の部屋で 長方形の僕が
丸くなった 回想録


正方形の部屋で 長方形の僕が
三角形になって 座り込んでいる
お腹が空いた どうしようかな
このままじっと していようかな

おにぎりの中身は 鮭、梅、おかか
三者択一も 成らぬままに

正方形の部屋で 長方形の僕が
三角形になって 固まっている


話す言葉も 見つからなくて
もっとも話す相手も 居はしないけど


正方形の部屋で 長方形の僕が
大の字に成る 因果の果て




2015/11/25 22:59
HP

213211

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