彩 愛 美 詩歌集

過去ログ222 2017/10/21 0:23

▼彩 愛 美
木 金 魚


漂うように一つの空間の 歪んだ揺らぎの中
ただ時の流れを このまま停めたままで
現実とは違う世界に身を委ね 流れるように流れず
流れぬように流れて行く 心の葛藤に蝕まれ

このままずっと変わる事の無い この小さな水宇宙の中で
石化して行く心は 定まらないままに浮き沈み

僕の都合ばかり押辺て 君の事情も顧みず
一人で生き行く術も無い 囚われ人だと気付けずに


一房に群がる果実のように 一つ処に住み着いて
一時の安楽に そのまま落ちて行こう
目の前にある甘い物ばかり食べ尽くしたら その先へは進めない
仕切られた見えない壁 外の世界を夢見ていても

このまま少しづつ削られて行く 大木の欠片も何時の日にか
こんなに小さな物へと 姿を変えてしまうのだろう

瑠璃の水牢閉ざされて 歯痒い空を見上げているだけ
青の蒼さに染まるまでは 僕の心も晴れやしない


月の夜に 火照る想いも 水の中で 木彫りの 金魚になって
土に還る その日まで 夢見て 求めて 望む物は何


かぐや錦をこの身に纏い 月の鏡に映す想い
愛されたくて愛してみても 尽くせぬ愛は愛じゃない






2017/10/21 0:23
HP

▼彩 愛 美
一人恋愛


切り出した雨の 空を裂く音が
白けた別れを 更に気不味くする
馬鹿騒ぎした 後悔の深さに
頭を抱えている 午後の気怠さ

また一人だけで その気になって
浮わ付いた気分で 足下を見失う方向音痴

まるで少女漫画みたいな シチュエーションは
それ程日常には 転がってはいなくて
頭では解ってはいるつもりでも
先に心がそれを 否定するから


指の形よりも 爪の形を気にする
全体よりも ピンポイント主義で
そのくせに 趣味がやたらと五月蝿くて
あれやこれやと 文句を並べ立てる

手前勝手な 譲れない事情
ずっと変えられないから 何時までも一人のままだね

何時も夢物語の中を 彷徨うばかりで
そこから脱け出す道 探そうともしないで
妄想と理想の ぬるま湯に浸る
何を無理して 結論を急いでいるの


歩み寄って 相手に合わせる事をしない
自分の道を自分から 修正する事をしない


誰のためでもない生き方を 貫き続ける
誰の意見も聴かず 行きたい道を進む
して上げるよりも してもらうばかりじゃ
やっぱり今日も同じ 一人恋愛






2016/10/23 11:21
HP

▼彩 愛 美
この道の先


この道は 何処まで続くの
目の前にある まだ知らないこの道
地図もナビも 何も無いけれど
それでも進むしか 出来ないこの道を

細い道や 太い道が幾つも
分岐して こちらへおいでよなんて
気持ちを 揺さぶって来る

廻り道だっていい 休んだっていい
ただここより 一歩づつだって
前に進めると 言うのなら


眠らずに 走る訳じゃない
無理をしてまで 走る必要も無い
しっかりと開いた 目に刻め
これから進むべき 自分だけの道を

登り坂や 下り坂だってある
足を取られる 凸凹道もある
言う程楽では 無いけれど

額から出る汗を 拭きながら走る
辛いけど 笑顔で居られる
求めて止まない 道の先


ここまで来なければ 今まで見えなかった
知る事も無かった 様々な経験を重ねられた


まだ世界の全てを 見た訳でもない
まだ知らない世界が あるのなら
道が続く限り 走って行く








2016/7/10 23:42
HP

▼彩 愛 美
指名手配

目を覚ませば
街は一変して
知らない間に
指名手配犯に

全く身に覚えも無く
やってもいないはずの
罪に問われている

社会的身分も低く
こちらの意見など
聴く人など居ない
ただ逃げる事しか
出来ないでいた

逃げれば逃げる程
罪は確定して行く
他人の空似だとも
想いもしたけれど
顔も名前も年齢も
全てが自分だった

事件の内容すら
知らされぬまま
罪の重さだけが
膨らんでしまう

着の身着のまま
知らない街へと
自分を語れずに
また流れて行く
たった一枚の
指名手配書に
怯えるように



2016/7/3 23:43
HP

▼彩 愛 美
Limit Break


あの頃の僕達と言えば 何に対してでも
挑戦的で 何時も前向きだった
例え昨日は 出来なかった事だって
今日は出来ると 信じていた

ここまでだなんて 自分達の限界を
決め付けられる事が 嫌だった

周りのみんなと 競い合う事が
限界を飛び越える 力になった
誰よりも早く 一番になる事を
僕達は何時も 考えていた


勉強なんて本当は 嫌いだったけど
簡単に敗けを 認めたくなかった
何時か知らずに 面白くなっていた
あんなに嫌だと 想えていたのにね

コツさえ掴めば 何でも出来るんだと
積み上げられる 自信の数々

知らない間に 身に付いた力
自分でも 驚く程の進化に
少しだけ強くなれたと 嬉しくなる
また一つ壁を 乗り越えていた


やるとかやらないとかって 本人の自由だけど
やらなければそこから 動けないだけのお話し


あの頃の僕達のように 何も恐れずに
直線的に 突き進みたいけれど
何時からか心に ブレーキを掛けて
目の前の壁に怯えて 逃げていた






2016/6/29 23:52
HP

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