彩 愛 美 詩歌集

過去ログ232 2025/10/22 23:40

▼彩 愛 美
[クローン]
[クローン]


同じ顔 同じ声 同じ胸 同じ背中
幾人ものあなたが 同時に居て
私はソレを 着替えるようにして
毎日違うあなたと 逢っているのよ

上手く伝え切れない 気持ちに躓いて
セーブポイントまで 何度も何度も
体制を戻そうと 無理を通した

そんな自分本意の恋が 上手く行くはず…
きっと無い事 解っていたんでしょう
でもその時には そうする事しか出来なかったの


同じ髪 同じ指 同じ口 同じ瞳で
何時も通りあなたが 笑い掛けて来る
ソレがとても 嬉しいと想えたの…
コピー用紙みたいに 薄い恋をしてた

形だけに拘り過ぎるあまりに
心は空蝉の つまらない恋を
上辺だけ意味も無く 引き摺っていたね

ソレでもあなたの事 愛せるなんて
想いが届くはずは 有り得ないのと
今更言われるまでの事でも 無かったとしても…


ただ誰かに見せびらせたかった だけの恋なんだって
認めたくない恐さで 触れらないままでいた事実…


在り来たりの 甘い恋を舐めていたのよ
隠されていた 苦味を見て見ぬ振りね
質の悪くなるクローンの恋を 繰り返していたの…


▼彩 愛 美
血 管
[血 管]


この体中に
張り巡らされた
大小様々なホース
行く道
戻る道
門が有ったり
無かったりして

体に必要な
栄養素や酸素を
休む事無く
送り続けて
不燃物や二酸化炭素を
引き戻す

心臓はポンプで
肺は浄化装置
二つの駅を繋いで
ぐるぐる廻り続ける

このバランスが崩れると
ゴミが詰まって
流れを堰停めたり
圧力を懸け過ぎて
ホースを傷付けたりする
ほんの些細な事
でも一度壊したら
元には戻せなくて
交換出来ない体を
一生引き摺って
生きて行く
食事制限や薬
手かせ足かせ
はめられて


▼彩 愛 美
[時 間 差]
[時 間 差]


発信者と
受信者に
僅かばかりの
時間差がある

気持ちの繋がらない
この間の悪さが
想いを冷まして
鈍らせて行く

直接的な
言葉や表情が
読み取れない
反応の遅さに
蓄積されて行く
イライラ感が
やがては
不信感へと
膨らんでしまう前にと
想うのだけれど
この時間差を
どうしても
埋められはしなくて…

世界がどんなに
近付いて見えても
事実上の距離が
近付いた訳ではなく
便利になった距離感を
錯覚していただけで
これ以上縮められない
時間差に
イラついてしまった
もっと不便だった時代と
遠い過去に忘れて…


▼彩 愛 美
[雑 雨]
[雑 雨]


濁音の雨が降る
冷たい午後に
汚い言葉で
私の事を
罵るように

全ての結末
私が悪い事をしたと
解ってはいても
納得出来ない
結果論だってある

ノイズを鏤めて
雨が降る
そんなに そこまで
責めなくたって
いいじゃない
ちゃんと
私が悪いんだって事
理解しているつもりだから

でも
何処かで甘えている
私にたって
言い分がある
ちゃんと
聴いてよって
言いたかったけれど

問答無用で
雨が降る
もう私には
言い返す力は
何も残っては
いなかった


▼彩 愛 美
[夜明けの空に]
[夜明けの空に]


アルトの音域で 夜を呟いていた
途切れ途切れに 響くはモノトーン
このまま一人になるのが 恐くて
宙を舞うか細さで 掴む袖口

親指と人差し指に 挟まれた僅かな隙間で
やっと繋がっている あなたとわたし

壊れかけた 積木のような心
そのまま優しく 抱き締めていて
夜の闇間に 潰されないようにね


風打つ窓際で 星を数えていた
幾ら数えても 数が合わない夜
何時までも気にして 眠れなくなった
夜空に滲む夢の 迷子になって…

鼻歌に混じる溜息 蚊程に掠れて
重たい夜の中で あなたを想い…

巡る想いが朝を 運んで来る
何も残さずに 新しい笑顔で
次の未来図 描いて行きましょう


幾多の夜の荒波を 乗り越えて
辿り着くのは平穏な 凪海のような朝陽の中で…


夜空の虹が 朝陽に輝いて
幾多の希望を 運んで来るのね
昨日までの苦痛を 癒すように…ね


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