1 陽花

【ORICON】木村『映画ドラえもん』インタビューA



■ドラえもん」は作風としては非常にパンクだと思う
――「ドラえもん」のどんなところに魅力を感じますか?

【木村】50周年ということで、ずっと人々の傍らに居続けることのすごさ。僕ら日本人のDNAの中に深く刻まれて当然だなって思います。そして、藤子・F・不二雄先生の先見性のある視点がすごいと思います

 ドラえもんのひみつ道具の中に「糸なし糸電話」(お互いにこれを持っていれば、糸でつないでなくてもお話しができる)というのがあって、それっていまでいう携帯電話。僕が子どもだった頃、漫画やアニメの『ドラえもん』を見て、あったらいいな、できたらいいな、と思っていたひみつ道具を具現化しようと研究や開発を頑張ってきた人が、この50年の間にたくさんいて、いままさに頑張っている人も、これからの人もたくさんいると思うと本当にすごい。

 一方で、ドラえもんはロボットなのに、喜怒哀楽があって、のび太が「助けて〜」と言ってきても、「ダメ」「イヤだ」と意外と拒むんですよ。ドラえもん自身が失敗することもある。そういうロボットらしからぬところもあって、作風としては非常にパンクだと思います。

――『のび太の新恐竜』の見どころは?

【木村】「のび太」は相変わらず「のび太」なところですかね。のび太って映画になると、急にカッコよくなると思っている人もいると思うけど、僕はテレビシリーズでも映画の中でも、のび太はのび太なりのエゴ、わがままを貫き通す。その点においては一貫していると思う。エゴのスケールが尋常じゃなく壮大だったり、カット割りやカメラワークの違いだったりで、美しく見えてしまうのが『映画ドラえもん』なんじゃないかなぁ。

 その映画も40作目ということで、親子で共有できる作品として『映画ドラえもん』は外せない存在になっている。自分の子どもが『映画ドラえもん』を観たらどう思うか、子どもたちの目にどう映るか、子どもの頃に『映画ドラえもん』を観てきたお父さん、お母さんなら自分も通ってきた道だからわかる。ひょっとしたら、人生経験をしてきた分、子どもより感動したり、今まで考えもしなかったような事に気づかされたりすると思います。


(20/8/6(木)ORICON NEWS)