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【スポーツ報知】剛『ミッドナイトスワン』インタビュー@

■草ナギ剛「代表作だなと心から思える」トランスジェンダー役…主演「ミッドナイトスワン」25日公開

 元SMAPの俳優・草ナギ剛(46)がトランスジェンダー役に初挑戦した主演映画「ミッドナイトスワン」(内田英治監督)が25日に公開される。過去に経験のない難役だったが、演技未経験の新人・服部樹咲(みさき、14)と共演したことで「目を見ているだけで自然と(役柄の)凪沙になれた」と振り返る。脚本を読んだ時点で号泣し、出演を熱望した意欲作で「間違いなく僕の代表作だと心から思える作品」と胸を張った。(有野 博幸)

 自然体の演技で多彩な役柄をこなす草ナギが号泣するほど、脚本段階からほれ込んだ作品だ。「感動して、涙が止まらなくなった。『この涙は何だろう?』と思って、絶対にこの役をやりたい」と出演を即決したという。

 これまでも全編韓国語の「ホテルビーナス」やヤクザでありながら介護ヘルパーというギャップのある「任侠ヘルパー」など難しい役柄もこなしてきたが、今回は「過去に経験したことのない、僕にとって大挑戦」。男性として生まれながら、心は女性というトランスジェンダーの凪沙役。ニューハーフショークラブで働きながら、育児放棄されていた親戚の少女・一果を預かることになる。

 「あまり難しく考えてプレッシャーになっても仕方ないし、すごい感動のまま、脚本を伏せて寝ました。それが何日も続いて、考えてもできる役じゃないと思った。自分がどう役を消化するか、なんて小さいこと。映画はみんなで作り上げるものだから、悩んでも仕方ない」と開き直った。クランクインを迎え、撮影現場で凪沙のキャラクターを作り上げた。

 セクシー衣装でダンスを披露する場面もあり3キロ減量するなど、できる限りの準備は怠らなかった。トランスジェンダーの人から日々、心に抱えている思いを聞く機会もあり「少しでも凪沙みたいな気持ち、悩みを抱えている人に、希望の光が差し込めばいいなと思った」。この映画がLGBT(性的少数者)の認識向上につながることも願っている。

 バレエ経験を前提としたオーディションで一果役を射止めた新人・服部の存在が大きかった。「1シーン、1シーンで一果が変わっていった。それによって僕も凪沙になれた。凪沙は嫌々、一果を預かることになるけど、心の底では来てくれて、うれしかったんじゃないかな。人がそばにいてくれることで安心するものだから」

 服部とは初対面。打ち解ける間もなく撮影が始まったが、それがむしろ「リアルなぎこちなさになって良かった」。最初は手探り状態で「ただただ、樹咲ちゃんの目を見てやることしかできなかった。その感じが結果的に良かったのかな」。凪沙の心に母性が芽生え、次第に心が通じ合っていく様子が絶妙で感動を誘う。

 特に印象に残っているのは2人が海辺を訪れるクライマックスシーンという。「最後に海にたどり着くのはロマンチックでもあり、悲しくもあり、凪沙の人生全てを包み込んでくれるようなシーンになった」。凪沙の物語であり、一果の成長物語でもある。「見る人の立ち位置によって、感情移入する部分が違うと思う。ぜひ親子で見てもらいたい」


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