1 陽花

【朝日新聞Telling】吾郎『Blume』インタビュー後編A

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◆たくさんの賛同が得られたコロナ対策の寄付
――新しい地図は4月、日本財団とともに「LOVE POCKET FUND(愛のポケット基金)」を設立し、「新型コロナウイルスプロジェクト」では医療従事者などへの支援金の寄付を募集。賛同も多く、現在も続いています。

稲垣: 本当に多くの方が協力してくださり、たくさんの額を寄せてくださったことはすごくうれしかったです。寄付をしたくても、どこにしたらいいかわからない人も結構いたみたいで。作家の湊かなえさんも寄付してくださったのですが、「どこにしたらいいかわからなくて、うずうずしてた」とおっしゃっていた。タイミングがよかったですね。募金ファンドはずっとやりたいと思っていて、コロナが流行する前から計画していました。
まだまだ始まったばかりだし、世の中がこれからどうなっていくかわからない。この活動は意欲的に続けていきたい。それに寄付して頂いた皆さんのお名前はみなさんに知ってもらいたいと僕は思うので、定期的に公表していきたいですね。

――寄付をしてくれた人の中には、中居正広さんのお名前もありました。

稲垣: そうなんです。もう本当に感謝しかないですよね。
僕らが募金をしているからってわけじゃなくて、「寄付したい」っていう本人の気持ちがあって、僕らのファンドを選んでくれたんだと思います。「困ってる人の役に立ちたい」っていう中居さんの思いでやったこと。そういう風に愛を分けてくれたという話を聞いたときは、すごくうれしかったですね、
困っている人の力に少しでもなれたことを考えると、本当にやってよかった。何かしらお役に立てていたらすごくうれしいし、中居さんも多分、喜んでくれているんじゃないかなって思います。

◆男が花を部屋に飾ったっていい
――先が見えない状況が続いています。今回のフォトエッセイを手に取る方にはどんなことを感じてもらいたいでしょうか?

稲垣: 「女だから」とか「男だから」みたいな従来の価値観をなくしていきたいですね。あらゆることは、女性も男性も一緒に楽しめると僕は思っています。男だって花が好きでいいし、美容に興味があってもいい。「女性だからこうしなければいけない」っていうような考え方は好きじゃないんです。それが僕の個性であり、価値観。このエッセイでは、そこを楽しんでもらえるんじゃないかな。男性にもすごく読んでもらいたいですね。
花が好きなので花屋に行くのはルーティーンなんですが、コロナ禍で、花屋で男性に出会う確率が高くなりました。家で過ごす時間が多くなって、いつもの風景にちょっと一輪、花を飾ってみようと考える人が増えてきたんだと思います。お祝いごと向けの花は売れなくなっているようですが、「生活の中で花を取り入れる人が増えている」と花屋さんがおっしゃっていました。男性もすごく、変わってきていると感じます。

だから、女だから男だからというのは今の時代はない、と思うんです。女性も男性もみんな一緒に、素敵な年の取り方をしていければ、いいですよね。

●稲垣吾郎(いながき・ごろう)さんのプロフィール
1973年、東京都生まれ。1991年CDデビューし、2017年9月まで男性アイドルグループ「SMAP」のメンバー。『稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ』(2005~09)や、映画『十三人の刺客』(10)などで活躍した。解散後は香取慎吾さん・草g剛さんと「新しい地図」を設立。主演映画『ばるぼら』が2020年公開されるほか、バラエティ番組『不可避研究中』、ラジオ『THE TRAD』『編集長 稲垣吾郎』、インターネット番組『7.2 新しい別の窓』などに出演している。


(20/10/4(日)朝日新聞telling)