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慎吾がNHK特集ドラマに山本五十六役で主演@

■香取慎吾、覚悟ゆえに「全く抵抗なかった」“丸刈り”山本五十六役

 俳優の香取慎吾(44)が山本五十六役で主演を務める太平洋戦争80年・NHK総合の特集ドラマ『倫敦ノ山本五十六』が、12月30日午後10時から放送される。このほど取材会が行われ、役のため丸刈りになった香取が、作品そして山本五十六という人物への思いを語った。

 冒頭、香取は「この役のために髪を丸刈りにさせていただいたのですが、少し伸びてきたので、きょうは少し(髪に)ジェルを付けてみました」と冗談めかしてあいさつ。人生2度目の丸刈りだというが、「ここまでの短さにしたのがとても気持ちよく、このスタイルが好きになってしまって。この後、僕は髪を伸ばしていくんだと思いますが、それは僕の仕事のために伸ばします。本当だったら一生このままでいいくらい気に入っていて、スッキリしています!」とすがすがしい表情で、丸めた頭をなでた。

 丸刈りへの抵抗は「全くなかった」と言い切る。「見た目や表面的なものだけではないんですけど、丸刈りにするくらいの(気持ちの)役というのを今までやったことがなかった。僕はお芝居に対して難しいなとか、緊張してしまう思いがずっとあり、あまりこんなふうに思ったことはなかったのですが、今は自分がレギュラー番組を何本も抱えていたりということもなく、時間にも少し余裕がある。そんななかでお芝居をするなら、そういう役をやってみたいと話していたとき、このお話を頂いたんです。だから、今の自分が思い描いてた役の“トップオブトップ”というか。その偶然にビックリして、ぜひやらせてくださいと言いました」と、“演じること”への覚悟をはかる作品と出会えた。

 軍人・山本五十六といえば、過去に三船敏郎や役所広司など多くの名優が演じてきた人物。さらにNHKのドラマに出演するのは大河ドラマ『新選組!』以来17年ぶり。自ずと「大きなプレッシャーを感じた」と話す香取だが、それだけに支えてくれたスタッフへ何度も感謝を口にする。「みなさんのプロフェッショナルぶりにビックリした。セットも衣装も他では体験できないような重厚さで、その場に足を踏み入れるだけで、役・場所に僕を連れて行ってくれるような、そんな現場でした」と充実を噛み締めた。

 軍国主義だった戦前の日本で、常に国家の行く末を選択し続けなければならない五十六。「シーン一つ一つに『いいえ』(と言える選択肢)がなく、常に『はい』しかない。『いや〜。それはどうなんですか?』みたいな素振りすらないんです。あるとしたら心の奥底で思うだけで、表情には微塵も出せないというのが、お芝居とはいえ胸が締め付けられるシーンがいっぱいあった」と香取。

 さらに“人間味”をどう表現するか、そのさじ加減にも悩んだ。「子どもとのシーンはもっと深く人間味をだそうかとも考えましたが、そこまではしなかったです。どんなときでも背筋を伸ばす感じはほぐれない。まさに、その“時代”がのしかかってくる感じで、もっとほぐれた、ゆるんだ愛情表現があっていいんじゃないかと思っても、それを引き止める自分がいた」とし、「五十六はすごい真っ直ぐで芯がぶれない分、苦しさもある。ときには周りを和ませるような言葉もあるけど、それすらも先の先を考えての発言だから、自分のなかではホッとできるものがない役でした」と苦労をにじませた。


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