1 陽花

慎吾インタビュー(東京中日スポーツ)

■2つの顔 慎吾 ドラマ「一千兆円の身代金」×三谷幸喜監督映画「ギャラクシー街道」

 SMAP香取慎吾(38)が今月、テレビと映画で対照的な作品に主演している。17日放送のフジテレビ系スペシャルドラマ「一千兆円の身代金」(午後9時)は、この国の在り方を問う社会派サスペンス。24日公開の三谷幸喜脚本・監督映画「ギャラクシー街道」は宇宙人だらけのロマンティックコメディー。国民的アイドル、明るく親しみやすいバラエティータレント、天才肌のアート作家と様々な顔を持つ香取だが、この秋は変幻自在な俳優として存在感をアピールする。

 「一千兆円の国の借金の話をしていると思ったら、宇宙人のラブコメディーの話。取材でも、今日はどっちの作品の話をするのかで気分が全然違う。でも、こういうのを楽しめるのは“香取慎吾冥利”に尽きますね」

 ドラマ「一千兆円の身代金」は、香取演じる主人公が、日本を借金まみれにした元副総理の孫娘(本田望結)を誘拐する社会派ドラマ。話題のフィットネスジムでそぎ落としたシャープな顔が運命に絶望した寡黙な誘拐犯役によく似合う。

 主人公が国に要求する一千兆円は日本が抱える借金の額。「年とともにニュースを見たり新聞を読むのが好きになって、知っていることが増えたはずなのに、あらためて『一千兆も借金があるのか』と思いました。でも、こんな大きな問題が後回しにされちゃうくらい、もっと大きな事件や事故が起きているんですよね、この国は…」

 重いテーマを前に自らも深く重く考え込むことが多かったようだ。

 本田とは初共演。香取の定義では「天才子役」とは演技と普段の子どもっぽさのギャップが大きい子どものことだが、「望結ちゃんは違う」と断言。「本番直前に悩んだり、不安になっているのに、すばらしいお芝居をする。子役じゃなく一人の女優さんですよ」と興奮気味に語った。

 映画「ギャラクシー街道」では、廃れた宇宙の幹線道路沿いにあるハンバーガーショップの店長を演じている。宇宙人だらけのぶっ飛んだ話なのに「今まで演じてきた中で一番普通の男かもしれない」。むしろ三谷監督の要求は「ちょっとイヤなヤツ」だった。

 「『いいですよ』『気にしないでください』と言いながら、ちっともそう思っていない男だと三谷さんは言うんです。『僕の中に、そんな部分はありません』って言っても、『いや、あります』って。きっと三谷さんの中に、こういうイヤなヤツがいるんですよ」と、現場での押し問答を楽しそうに振り返った。

 正反対な二つの役だが、いずれもバラエティーで求められる「明るく元気な慎吾ちゃん」とはまた違う。「いろんな場を与えてもらって本当にぼくは運がいい」とかみしめるように言った後、すぐに否定した。

 「占い師に言わせると、運もまだ使っていないんですって。これから運が回り始めるって、もう疲れたよ。これ以上の運、抱えきれないって」。言葉と裏腹に、隠しきれないワクワク感が笑顔からあふれていた。

◆綾瀬と観客でバーガー食べさせあいギネス記録

 映画「ギャラクシー街道」のイベントが13日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開かれ、ハンバーガー店の店長夫婦を演じた香取、綾瀬はるか(30)と観客計244組がハンバーガーを食べさせあい、「同時に食べ物をたべさせあったペア数」のギネス世界記録を樹立した。

 認定書を受け取った香取は「はるかちゃんやみんなと作った記録なので、うれしいです。みんな、やったよ」と喜び、三谷監督は「次は映画で日本一、宇宙一を取りたい」と意気込んだ。


(15/10/14(水)東京中日スポーツ)