1 陽花

サンスポ歴代記者が見たSMAPの軌跡【中居編】

■【歴代担当記者が見たSMAPの軌跡】中居は酔うと必ず「オレはSMAPが好きなんだ」

 近寄りがたい存在だった。20年近く前の話。SMAPが巨大なグループへと成長していく過程でのことだ。

 1998年の紅白歌合戦。リハーサル中にNHKホールの通路に姿を見せた木村拓哉を数人で囲んだ。ステージへの質問がとんだあと、女性記者が聞いた。「今日の服の色をチョイスした理由は?」。木村は女性記者に近づき、スカーフを指さして一言。「なぜ?」。そのまま去って行った。理由は特にないと言いたかったのだろう。設定された会見でもなく、とがめる理由はないが、こわばった女性記者の顔が印象に残っている。

 ただ、決して礼儀知らずなわけではない。インタビューの際、収録が長引いて取材に遅れた時には、「遅れてすいません」と深々と頭を下げる。質問にも丁寧に応じる。思ったことをはっきり言う性格なのだ。そして、売れたからそうなったのでもなく、デビュー当時からそうだった。誤解を招くこともあったが、木村に代表されるように、自らのスタイルを貫き通す信念が、5人にはあった。そのスタイルで、歌、ドラマ主演、バラエティーの司会まで務め、すべての分野でトップクラスの数字を残し、新しいアイドルの道を切り開いた。

 それぞれの個性が強い分、ぶつかり合いはあっただろう。過去には、あるメンバーの独立騒動を耳にしたこともあった。そんなさなか、ジャニーズに近い関係者が酔っぱらって話したことが、鮮明に記憶に残っている。「SMAPが続いているのは中居(正広)がいるからですよ」。当時、中居は酔うと、必ず最後に「オレはSMAPが好きなんだ。SMAPは最高だ」と話していたという。強いリーダーシップを発揮して、グループをまとめていた。

 今年1月、解散騒動の謝罪をする姿は家のテレビで見た。いるべきはずの中心に、中居はいなかった。それから7か月後の解散発表が、妙に腑(ふ)に落ちた気がした。

(1998〜99年担当・宇佐見謙二(48)=編成部デスク=)

 ◆98年にも解散騒動

 木村拓哉のソロ写真集が“独立騒動”に発展し、一部で根強く解散がウワサされていた。このとき、9月29日の東京ドーム3日間公演初日に約2年ぶりに5人そろって記者会見を行い、木村が「これからコンサートをするので(解散は)ないです」とキッパリ否定した。


(16/12/24(土)スポーツ報知)