1 イレイザー健◆X0GH
ハーフノンフィクションノベル『軍師孔明』
「審判はん、高い金はろてんのや、ほんなら例の件、よろしくたのんまっせ。」 薄暗い部屋の中、何事かを話す二つの怪しい影。 ここはスキマニ最強を決めるゲスゲームの試合会場である、何試合かはすでに消化されており今や会場の空気は最高潮へと達していた。 「赤コーナー!神龍会所属!メカァァ鱒ぅ男!」 メカ鱒男、神龍会のブレインでありスキマニ界で一、二を争うキレ者。彼の事を敬意を払って『孔明』と呼ぶ者まで多数いた。
2 イレイザー健◆X0GH
メカ鱒男はゆっくりと石畳の硬いリングの上に上がり対戦相手であるグロッキーワイロに目をやった。 「メカ鱒男はん、あんたの名前はよう耳にしますわ、けど今回は運が無かったみたいやな、ワイとあんたはんでは力の差がありすぎますわ」 グロッキーワイロはその太い腕を曲げて力こぶを作ってみせた。 「なにも戦いは力が全てではないよ」 「ククク、そうでんな、何も力が全てではない・・」 そう言うとグロッキーワイロはちらっと審判の方へ目をやった。
3 無名さん
4 イレイザー健◆X0GH
「??」 「ま、いずれ分かることや、ほなお手柔らかにたのんまっせ」 「・・・・」 「では!これよりメカ鱒男対グロッキーワイロの試合を行います!両者、始め!」 「カーンッ!」「行くで!はちゃあ!!」 試合開始のゴングが鳴りおわるのを待たずして、グロッキーワイロのカカト落としがメカ鱒男を襲う。しかしメカ鱒男の意表をつく事は出来ずあっさりとかわされてしまう。 「やるやないか、これをかわすとは」
5 イレイザー健◆X0GH
「君のデータは全部ここに入ってる、ってわけよ」 メカ鱒男は人差し指で頭をトントン、と叩いた。 「そうでっか、ほな、これはどうでっしゃろ」 グロッキーワイロは手を合わせると何やら小声で呪文を唱えた。するとメカ鱒男の全身を堪え難い激痛が襲った。 「ぐ!!これは!?審判!」特殊スキルポイズン、相手を毒状態に陥らせることの出来るスキルであるが当然ゲスゲームでは使用を禁じられている。
6 イレイザー健◆X0GH
「審判ですが何か?」 観客席からは遠いためリング上で何が起こっているのかは分からない、しかしそれを間近で見ている審判は別である、特殊スキルは発動時にある種独特の光を放つからである。 「そういうことか、把握した・・」 「そういう事ってどういうことでっか、ワテは何もしてまへんで、うら!」 グロッキーワイロの喧嘩キックがメカ鱒男の腹部にめり込む。 「オラ!オラ!どうしたんでっか!ワイのデータは全て頭の中とちゃうんでっか!」
9 イレイザー健◆X0GH
「ガッ!ドガッ!」 全身を襲う激痛で動けないメカ鱒男に一方的に攻撃を加えるグロッキーワイロ。「ほら!ほーら!どうしたんでっかメカはん、色男が台無しでんな!ぎゃはーっはっは!」 「がはっ、うん、このままではとてもよくないね・・」 「ゲヘ、ゲヘへ、う、動けない者をいたぶるってのはなんとも興奮するもんでんなぁ・・」 恍惚の表情を浮かべるグロッキーワイロの下半身ははちきれんばかりに膨らんでいる。
11 イレイザー健◆X0GH
「ったく、どこまで反則なんだよ!!」 メカ鱒男は痛みを我慢し、なんとか片手でソニックブームを放ちグロッキーワイロの股間に直撃させる。 「ぐぁあ!!ワイのおいなりさんがぁ!!」 グロッキーワイロが悶絶している間にメカ鱒男は審判の後ろに回り込み審判を盾に取る。 「こ、こら!君!放しなさい!」 メカ鱒男は審判の服をつかんで放さない。 「ゆ、許さへんでメカ!」 「別に許してもらおうなんて思っていない。神龍会のみんな、オラに少しだけ元気を分けてくれ」 そうつぶやくと何やらメカ鱒男は力を溜め始めた。
12 イレイザー健◆X0GH
「そんなとこ隠れとらんと出てこんかい!」 グロッキーワイロはのしのしとメカ鱒男の方へと近寄ってくる。 「まだ、まだだ。もう少し、後三歩」 「ゴルァ!いつまで隠れてるつもりや!いわすぞ!」 「はいここ!消しとべぇぇぇ!!」 メカ鱒男は掴んでいた審判の服を放し盾にしていた審判めがけて渾身の元気玉を放つ。 「な、何を・・!?」 そう言いかけて審判は一瞬にして姿を消し元気玉はグロッキーワイロの目前に唐突に現われた。
13 イレイザー健◆X0GH
「!!??」 「ずがーん!!!」 言葉を発する間も無くメカ鱒男の放った元気玉はグロッキーワイロの元気玉を直撃、そして粉砕した。 審判は誤爆を避けるためみなオートバニッシュの装着を義務づけられている。メカ鱒男はそれを利用しわざと審判に元気玉を放ち見事当てづらい元気玉を死角からグロッキーワイロに直撃させたのである。 「勝者ぁ!メカぁ!たるるぅぅうおおぁ!!」 舞台を降りるメカ鱒男に神龍会メンバーが駆け寄る。「やったねメカ!それにしても途中、様子が変だったけど何かあったの?」
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