4 ◆X0GH
裕子はさっき怒鳴ったきりもう喋ろうとはしない。何を怒っているのだろうか。彼女も麻美が死んでしまってから少しおかしいように思う。
裕子と麻美はリアルな友達で親友だった。彼女も麻美の紹介でスキマニをやっていて、僕らはたまに三人で遊ぶこともあった。麻美が死んでからは、心配してくれているのか今日のようにちょくちょく僕を遊びに誘ってくれる。
オレンジジュースはiceが全部溶けてしまって半透明な黄色をしている。彼女は椅子にもたれかかったままじっとうなだれて顔を伏せていた。肩まである真っすぐな黒い髪が彼女の顔を覆い隠していて、僕には彼女が、泣いているのか何かを考えこんでいるのか、又はその両方であるのか分からなかった。ただ彼女は、時々机の上に置いていた自分の右手を強く握った。
そのうち彼女は、立ち上がると、帰る。と言って帰ってしまった。僕は何も声をかけられず、呆然と彼女の後ろ姿を見送っていた。彼女は泣いていた。僕は、やはりとんぬらが居るような気がしてならなかった。
裕子と麻美はリアルな友達で親友だった。彼女も麻美の紹介でスキマニをやっていて、僕らはたまに三人で遊ぶこともあった。麻美が死んでからは、心配してくれているのか今日のようにちょくちょく僕を遊びに誘ってくれる。
オレンジジュースはiceが全部溶けてしまって半透明な黄色をしている。彼女は椅子にもたれかかったままじっとうなだれて顔を伏せていた。肩まである真っすぐな黒い髪が彼女の顔を覆い隠していて、僕には彼女が、泣いているのか何かを考えこんでいるのか、又はその両方であるのか分からなかった。ただ彼女は、時々机の上に置いていた自分の右手を強く握った。
そのうち彼女は、立ち上がると、帰る。と言って帰ってしまった。僕は何も声をかけられず、呆然と彼女の後ろ姿を見送っていた。彼女は泣いていた。僕は、やはりとんぬらが居るような気がしてならなかった。
5 ◆X0GH
ファミレスに一人残された僕は、麻美と初めて新宿に来た日のことを思い出していた。彼女は白いワンピースを着ていて、ヒールのあまり高くない上品なパンプスを履いていた。その日は休日で、新宿の町は変な格好をした若者や中年夫婦、外国人など色んな人々でごったがえしていた。そんな中に居ると、僕は時々ここが日本でなくてどこか違う国であるように感じることがある。
僕と麻美は雑踏の中を並んで歩いて、色んな話をした。
「私ね、新宿の町って好きよ。」
彼女が笑いながら言った。彼女は僕に話し掛ける時は必ず笑顔で話す。それは誰に対してもそうなのかもしれない。でも僕はその笑顔がとてもいとおしかった。
「そうかな、汚いだけじゃん。臭いし、人多いし、それにとんぬらが居そうだし。」
「うん、でもそういうところが好きなの。なんか新宿って、スキルシティに似ていると思わない?治安悪そうで、周りの人が今にも襲い掛かってきそうで。そこが好き。まあとんぬらは居そうだけど。」
「ふぅん、麻美は変わってるな。まあ誰かが襲い掛かって来たら俺が守ってやるよ。そりゃ!ドレイクファング!」
僕は足を開いて手を前に出し、ドレイクファングを撃つふりをした。麻美は、口に手をあてて、ふふふ。と笑った。彼女の長い髪が少し揺れた。僕も笑った。僕らは幸せだった。ただとんぬらは居そうだった。
僕と麻美は雑踏の中を並んで歩いて、色んな話をした。
「私ね、新宿の町って好きよ。」
彼女が笑いながら言った。彼女は僕に話し掛ける時は必ず笑顔で話す。それは誰に対してもそうなのかもしれない。でも僕はその笑顔がとてもいとおしかった。
「そうかな、汚いだけじゃん。臭いし、人多いし、それにとんぬらが居そうだし。」
「うん、でもそういうところが好きなの。なんか新宿って、スキルシティに似ていると思わない?治安悪そうで、周りの人が今にも襲い掛かってきそうで。そこが好き。まあとんぬらは居そうだけど。」
「ふぅん、麻美は変わってるな。まあ誰かが襲い掛かって来たら俺が守ってやるよ。そりゃ!ドレイクファング!」
僕は足を開いて手を前に出し、ドレイクファングを撃つふりをした。麻美は、口に手をあてて、ふふふ。と笑った。彼女の長い髪が少し揺れた。僕も笑った。僕らは幸せだった。ただとんぬらは居そうだった。
7 ◆X0GH
そのうちに雨が降りだしたので僕らは近くのファミレスに入った。しばらく様子を見たが雨のあがる気配は全く無かった。
「せっかくのデートなのに雨降っちゃったな。」
と僕は言った。
「そうね。でもここは民宿だからとても安心出来るわ。」
と彼女は言った。
僕は彼女の言ってる意味がよく分からなくて、民宿?と聞き返した。
「そうよ、なんかここって安心出来るじゃない?雨からは守られてるし、外の人からも守られてるし。私ね、恐くてPKなんか出来ないからずっと民宿に居るの。だって外に出たらすぐにやられちゃうんだもの。お陰でPK数0、被PK数500よ。」
彼女は少しはにかんで笑った。
「うむ、だけどそれじゃ全然面白く無いんじゃない?ずっと民宿じゃ。」
「ううん、そんなこと無いの。民宿に居て支援とかしてね、お礼とかされるとそれだけですごく幸せな気分になれるの。それに、ね・・」
「せっかくのデートなのに雨降っちゃったな。」
と僕は言った。
「そうね。でもここは民宿だからとても安心出来るわ。」
と彼女は言った。
僕は彼女の言ってる意味がよく分からなくて、民宿?と聞き返した。
「そうよ、なんかここって安心出来るじゃない?雨からは守られてるし、外の人からも守られてるし。私ね、恐くてPKなんか出来ないからずっと民宿に居るの。だって外に出たらすぐにやられちゃうんだもの。お陰でPK数0、被PK数500よ。」
彼女は少しはにかんで笑った。
「うむ、だけどそれじゃ全然面白く無いんじゃない?ずっと民宿じゃ。」
「ううん、そんなこと無いの。民宿に居て支援とかしてね、お礼とかされるとそれだけですごく幸せな気分になれるの。それに、ね・・」
9 ◆X0GH
そのうちに雨が降りだしたので僕らは近くのファミレスに入った。しばらく様子を見たが雨のあがる気配は全く無かった。
「せっかくのデートなのに雨降っちゃったな。」
と僕は言った。
「そうね。でもここは民宿だからとても安心出来るわ。」
と彼女は言った。
僕は彼女の言ってる意味がよく分からなくて、民宿?と聞き返した。
「そうよ、なんかここって安心出来るじゃない?雨からは守られてるし、外の人からも守られてるし。私ね、恐くてPKなんか出来ないからずっと民宿に居るの。だって外に出たらすぐにやられちゃうんだもの。おかげでPK数0、被PK数500よ。」
「せっかくのデートなのに雨降っちゃったな。」
と僕は言った。
「そうね。でもここは民宿だからとても安心出来るわ。」
と彼女は言った。
僕は彼女の言ってる意味がよく分からなくて、民宿?と聞き返した。
「そうよ、なんかここって安心出来るじゃない?雨からは守られてるし、外の人からも守られてるし。私ね、恐くてPKなんか出来ないからずっと民宿に居るの。だって外に出たらすぐにやられちゃうんだもの。おかげでPK数0、被PK数500よ。」