1 名無し

見えない恐怖

いきなり鼻に虫が入ってきた
フンッてしたけど出ていったかなんて見ていない
鼻壁にぶち当たった感覚だけが残り
息を口から吸う事に集中した数分間
俺は絶望の剣山の上でコサックダンスを踊っていたような気がする
2 名無し
人間の思考回路は不思議なもので
恐怖の中で俺は、俺に恐怖を与えたその憎むべき存在を心配していた
(…まさか鼻水に囚われちゃったりしていないよな)
そっとティッシュを鼻に詰めてみた
姿を見ていないだけに何が鼻に入って来たのかも分からない
小さな物で鼻水に囚われているならば、無惨な姿で俺にその姿を見せるであろう…
「チッ!」
釣果0である
鼻毛一本すら付着していない
苛立ちを覚えタバコに火をつけ鼻から煙を出した
3 名無し
「虫の燻製!…なんつって」
無表情のままおどける自分が鼻に入って来た何かよりちっぽけな存在に思えた。
ハッ!俺よしばし待て
それは本当に虫と断定して良かったのか?
もしかするとスモールライトで小さくなった出来杉君かもしれない
もしそうだとすると俺は優等生を燻製にしようとした極悪人…
それはマズい…
インドのヨガみたいに鼻洗浄をするべきだろうか?
明日、雑貨屋さん巡りでもしようかなぁ
もちろん鼻洗浄用の雑貨を優先的に探すさ!
4 名無し
そんな事を思いながらも恐怖で鼻から息が吸えない
胃まで到達なんてされちゃった日にゃあ…俺は虫食い人間
待てよ…でもイナゴって昔は食われてた
エスカルゴだって人気料理な訳だし
意外と俺はセーフか?
あの物体が地球上で確認されている生物であれば
とっくに胃液に溶けてるよな
怯え戦きそして食欲に負けた気がした
5 名無し
「店長〜!働いて下さい」
俺の崇高な妄想はバイト君の不躾な叫びによってクラッシュした
「あん!」
マジ切れ寸前の返答を返す俺に奴は続けた
「ちょwww落ち着いて下さいwww虫が鼻に入ったから機嫌悪いんすかwww」
(っ!?)
「お前…見てたのか」
ニヤニヤと笑っている奴に殺意すら芽生えた
「出ていったかどうか見てたのか?答えなかったら減俸だ」
「小蠅みたいなのが鼻から出たのは見ましたよwwwちょwwwマジ切れwwwッパネェwww」
6 名無し
そして俺は今日も不機嫌である。
7 名無し
-糸冬-
8 名無し
きゅいーん