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森且行、涙のSG初VにSMAPメンバー全員がコメント@

■【川口・日本選手権】森且行 涙のSG初V!アイドルからオートレース転向24年で悲願日本一

 オートレーサーの森且行(46=川口)が3日、埼玉・川口オートレース場で行われたSG「第52回日本選手権オートレース」の最終日12R優勝戦(優勝賞金1700万円)で1着。現在5つあるオートレース最高峰のSG(スーパーグレード)競走で悲願の初優勝を飾った。優勝戦進出は通算4度目だった。96年にSMAPを脱退し、日本中を驚かせてから24年。ついにオートレース日本一の称号を獲得し、目に大粒の涙を浮かべた。

 森の大きな瞳から涙があふれた。「やっと仲間に誓った約束を果たせた。よかった」。仲間とはもちろん中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の5人。オートレーサーになるという夢を許し、応援してくれた元SMAPのことだ。「日本一になると言って(グループを)出てきたので」。表彰台に世界に一つだけの花が咲いた。

 幸運も味方した。スタートを決めて勝負どころでは3番手。「40歳を過ぎたあたりから体力の衰えを感じSGは絶対無理だと思っていた。ただ、やる気だけはあった。新人より練習した」。そんな森に神様がほほ笑む。道中で1番人気の鈴木、九州のチャンプ荒尾が接触転倒で脱落する想像外のアクシデント。森の前には誰もいなくなった。「うそだろ」。必死に残り4周を踏ん張る。最後はハンドルがふらついた。何とか先頭でゴール。3連単57万8880円はSG優勝戦史上最高配当。大穴を演出し、森は夢をかなえた。

 「最後は必死だった。めちゃくちゃ運がある。でも、減量の効果もあってそれが(いい)スタートに出た。優勝戦メンバーの中で最後までスタートを練習して、そこで手応えをつかんだ」。日本一のトップアイドルからの転身。だが、森にそれを鼻にかけるようなところは一切ない。選手仲間を励まし、祝福し、自身も努力する。今回、体重を通常より4キロ絞って57キロで迎えた。これがラストチャンスという思いもあったかもしれない。天命を待った。「一番獲りたいタイトルを獲れた。神様はいますね」。夜空ノムコウにまた涙が光った。

 デビュー24年目でのSG制覇は史上最遅。だが、トップのS級で活躍しつつ、トークショーなどのイベントを精力的に行い、低調傾向にあるオートレース業界を支えてきた。年末に待つのは14年以来、6年ぶりのスーパースター王座決定戦。オートレース界の有馬記念だ。「ここまで来たら(スーパースターの)優勝戦に乗りたいね」。夢に向けて走った日々は間違いじゃなかった。森且行。その名をオートレースの歴史にしっかりと刻み込んだ。

 ≪芸能界から転身例 菅原、芦村さんら≫芸能界からレース業界への転身例としては映画「釣りバカ日誌」で鯉太郎少年を演じた菅原隆一(28)が挙げられる。父がJRA騎手で子役の段階で俳優業をやめ同じ道へ。今年はここまで1勝と低迷も、来れば高配当“穴騎手”だ。芦村幸香さん(35)はモデルとして人気テレビ番組「恋のから騒ぎ」に登場。その後にボートレーサーとなった。19年に引退。通算18勝。グラビアタレントだった日野未来(27)は仕事で関わった競輪を見て、選手への転身を決意。18年7月にデビューし現在も奮闘中。

 ◆森 且行(もり・かつゆき)1974年(昭49)2月19日生まれ、東京都足立区出身の46歳。中学でジャニーズ事務所に入り、ジャニーズJr.となる。88年SMAP結成。96年5月いっぱいでSMAPを卒業。ジャニーズ事務所を退社。96年8月、走行訓練中に左股関節脱臼骨折の重傷を負うも97年春、養成所を卒業。97年6月、25期生として登録。G1・2度、G2は3度優勝。SGは初。1メートル77、57キロ。血液型B。

 ▼オートレース プロのオートレーサーが2輪車(オートバイ)でコースを周回して争う。通常、1日12競走行われ、8車が1周500メートルを6周して順位を競う(グレードレースでは8周〜10周)。最高で時速150キロに達する。ナイター、ミッドナイト開催も行われる。全国で川口、伊勢崎、浜松、飯塚、山陽の5場ある。選手数は395人。

◆森且行Vを祝福!キムタク「健闘祈ります」 中居「長かったなぁ」 稲垣、草なぎ、香取「本当にうれしい」

 かつてSMAPとして森とともに活動した俳優の木村拓哉(47)は「それぞれの選んだ道で、それぞれがつかむもの。今後も健闘を祈ります」とコメントを寄せた。タレントの中居正広(48)は「直接おめでとうは、ご本人にお伝えしましたが改めて…森〜っ!おめでとう!」と祝福。優勝までの道のりを振り返り「やったなぁ。長かったなぁ。大きなケガもしたなぁ。諦めなくてよかったなぁ」とねぎらった。

 「新しい地図」として活動する俳優稲垣吾郎(46)、草なぎ剛(46)、香取慎吾(43)は3年前のこの日、番組の企画で森と21年ぶりに再会。「その時にたくさんのパワーをもらい励まされました。あれから3年後の今日、森君が夢をかなえることができ、僕たちも本当にうれしいです」と喜んだ。

(20/11/4(水)スポニチ)