評伝ザッヘル=マゾッホ




 
  【No.20 Res.0】

その17


1 Name 鈴木♂
 
1877年、レオポルト一家は経済的に苦しかった。
レオポルトの著作の売れ行きがよくない。
講演会をやっても人が集まらない。人が集まらないのはレオポルトを嫌う連中が
悪い噂を流した。「マゾッホ夫人は誰とでも寝る女だ」。って、その噂のもとを
つくったのはレオポルトなんだが。
さらには、パリのエージェントが「毛皮を着たビーナス」などの印税をネコババした。
こうした経済的困窮も原因し、レオポルトとワンダの関係は冷え切っていた。
事実、この頃には、ワンダはレオポルトとのベッドを拒み、別の複数の男性と
関係を結んでいたらしい。

レオポルトは健康を害して、ワンダと別居し、グラーツのアパートで独り暮らしを
する。健康を害してというのは言い訳で、お互いに離婚を考えていたらしい。
「あなたの私に対する愛は、私が糞の上でくたばるのを見たいという望みに
変わってしまったのだから‥‥」、レオポルトがワンダに宛てた手紙の一文だが、
しかし、よくわからん。
この二人は普通の夫婦の関係ではない。マゾッホ劇場の住人の手紙を文字通りに
受け取っていいのか。「糞の上でくたばる」はそれこそスカトロージー的な
新たなゲームでも思いついたのか(そんなわけはない!)、さてさて、レオポルト
とワンダの夫婦関係はどうなりますかは次回。
 
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 Del

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