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【No.34 Res.0】 その3 1 鈴木♂ レオポルト10歳の時、もうこの時はすっかり元気なワンパク小僧で。父方の叔母、 ゼノビアX伯爵夫人の家へ遊びに行く。この時は、弟、妹も生まれており、伯爵家の 子供たちとカクレンボをして遊んでいたが、レオポルトは伯爵夫人のクローゼットの 中に隠れて、とんでもない光景を見てしまう。 テンの毛皮を着た伯爵夫人が青年を部屋に招きいれ抱擁をはじめる。そこへ伯爵が 飛び込んで来た。すわ修羅場か、なんて子供のレオポルトは思わんだろうが。 なんか大変なことだというのはわかる。しかし夫人は少しもあわてず、伯爵に 平手打ちを食らわせた。伯爵は鼻血を流しながら部屋から出て行き、青年も驚いて 退出してしまう。
するとしばらくして伯爵が戻って来た。伯爵は泣きながら跪いて婦人に謝った という。その後、伯爵夫人が鞭を手にしたかどうかはわからないが。 この一幕は、「毛皮を着たビーナス」の主人公の回想場面でも出て来る。 こんな光景をホントにレオポルトが目撃したのか、乳母から聞かされた昔話の一つ なのか、それとも彼の妄想(創造)なのかはわからない。 12歳の時、ザッヘル=マゾッホ一家はプラハへ引っ越す。父がプラハの警察署長に 栄転したためだ。こうしてプラハでの生活がはじまる。ここでレオポルトはある 女性から人生最大の苦痛を与えられるのであるが、それは次回。
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