1 鈴木♂
その12
警察署長の息子で売れっ子作家で法学博士のレオポルトが、無教養なお針子女の
ラウラに完全に手玉に取られていた。
レオポルトは婚約者と別れた。しかし、アリスは人妻であるから(レオポルトは
アリスの嘘を信じていた)、彼女と結婚することは出来ない。
レオポルトに残された道は一つしかない。アリスの奴隷になる。
1872年3月のある日、レオポルトはアリスに黒ビロードのコートをプレゼントした。
「私の小説をお読みなら、このプレゼントの意味がおわかりでしょう」
レオポルトはそう言うと、アリスの足元にひれ伏して、靴にキスをした。
1872年4月15日、レオポルトはアリスに鞭で打たれた。
全裸で四つ這いのレオポルトの背中に、アリスは鞭の雨を降らせた。
苦痛と歓喜があふれきてレオポルトは真実の涙を流した。
レオポルトはアリスの奴隷になる決意をする。彼女に夫がいても構わない。
むしろ、自らが縛られて夫の目の前でアリスに鞭打たれる、そして夫とアリスは
縛られ動けないレオポルトの前で激しく愛し合う‥‥そんなシナリオが作られて
いた。
しかし、アリスはお針子のラウラなのであり、夫なる人物は存在すらしないのだ。
アリスは行き詰った。そこで、彼女は別の餌をレオポルトに与えることでこの場を
乗り切ることにした。「毛皮を着たビーナス」というテキストを熟読しているから
こそ出来るワザだ。
ラウラに完全に手玉に取られていた。
レオポルトは婚約者と別れた。しかし、アリスは人妻であるから(レオポルトは
アリスの嘘を信じていた)、彼女と結婚することは出来ない。
レオポルトに残された道は一つしかない。アリスの奴隷になる。
1872年3月のある日、レオポルトはアリスに黒ビロードのコートをプレゼントした。
「私の小説をお読みなら、このプレゼントの意味がおわかりでしょう」
レオポルトはそう言うと、アリスの足元にひれ伏して、靴にキスをした。
1872年4月15日、レオポルトはアリスに鞭で打たれた。
全裸で四つ這いのレオポルトの背中に、アリスは鞭の雨を降らせた。
苦痛と歓喜があふれきてレオポルトは真実の涙を流した。
レオポルトはアリスの奴隷になる決意をする。彼女に夫がいても構わない。
むしろ、自らが縛られて夫の目の前でアリスに鞭打たれる、そして夫とアリスは
縛られ動けないレオポルトの前で激しく愛し合う‥‥そんなシナリオが作られて
いた。
しかし、アリスはお針子のラウラなのであり、夫なる人物は存在すらしないのだ。
アリスは行き詰った。そこで、彼女は別の餌をレオポルトに与えることでこの場を
乗り切ることにした。「毛皮を着たビーナス」というテキストを熟読しているから
こそ出来るワザだ。
(PC)