1 鈴木♂

カフカとマゾッホ

4月に入ってもまだまだ肌寒い日が続いておりますが、鈴木♂はそんな雨の日の
休日にweb上でちょっと面白い記事を見つけました。

フランツ・カフカの「変身」はザッヘル=マゾッホの代表作「毛皮を着たヴィーナス」
に対するオマージュ(hommage=敬意)ではないかという説です。
その説によると「変身」の主人公グレゴール・ザムザという名前は

Samsa(ザムザ)・・・Sacher=Masoch(ザッヘル=マゾッホ)の略

グレゴール ・・・「毛皮を着た・・・」の主人公セヴェリーンが女主人のワンダから
         付けられた奴隷のペットネーム

という隠された意味があるのではないかという事だそうで、「変身」のストーリー
自体もある朝突然に巨大なイモ虫に変身してしまった主人公が家族から厄介者
扱いされ、自分の妹にソファーの下で餌を与えられながら飼われるというカフカ流
のマゾヒズム小説ではないのかと。

そう考えてみると「変身」や「審判」で主人公がいきなり不幸のどん底に突き落とされ
死んでしまうというカフカ小説の不条理さもなんとなく理解できますし、二人の
小説家が生きた時代は半世紀ほど違いますが、マゾッホと同じプラハ大学の卒業生
でもありプロの小説家志望のまま死んだカフカが19世紀のヨーロッパではそれなり
の流行作家だったマゾッホの小説を読んでいたとしても確かに不思議ではない様な
気が致します。

なお余談ですが、マゾッホは19世紀の人ですから海外サイトを捜すと意外と多くの
肖像写真が残っています。
それを見るとひさうちみちお氏の哲学的SMマンガ「理髪店主のかなしみ」の主人公
である理髪店主はマゾッホにそっくりですから、どうやら彼がイメージ的なモデル
となったみたいですね。
(PC)
2 鈴木♂
鈴木♂はいつもザッヘル=マゾッホと表記致しますが、これは何故かというと
ザッヘル=マゾッホというのが彼の名字で、レオポルトというのが彼の名前だから
です。
では何故、彼には名字が二つあるのかというとザッヘルは父方の姓、マゾッホは
母方の姓で、この両家は共にオーストリア・ハンガリー帝国の貴族の家なのですが
レオポルトの母の実家であるマゾッホ家には跡取り息子がおらず、お家が断絶する
事を恐れたレオポルトの祖父が彼に両方の家の跡継ぎになってくれる様に頼んで、
彼の代からザッヘル=マゾッホという二つの名字を名乗る事になりました。

もし、こういう経過が無かったら、彼はレオポルト・フォン・ザッヘルという名前
だった筈ですから、マゾヒズムではなくザッヘズム?とクラフト=エビングに
命名されていたのではないかと鈴木♂は想像致します。
そうなるとSMではなく、SSと現代では呼ばれていたのかもしれませんね。
ちなみに日本で最初にSMという単語?を使ったのは美濃村晃氏なのだそうです。
(PC)