1 鈴木♂

「電車男」についての考察

先月の終わり頃に新潮社から「電車男」という単行本が出版されました。
これは2ちゃんねる独身男性板(通称:毒男板)のとあるスレッドをまとめた物で
本自体も掲示板のカキコをそのまま印刷したという、たぶん日本初の書籍です。

内容はTVやネットで御存知の方も多いと思いますが、ある若い独身男性が
電車内で酔っ払いに絡まれていた若い女性を助けた事から始まるお話です。
彼女からお礼にエルメスのティーカップを贈られた男性は、彼女をデートに
誘いたいと思うのですが、それまで女性と付き合った経験の無い彼には
どうしたら良いのか分からず、自分が出入りしていたweb上の掲示板(毒男板)
に助けを求めます。

毒男板住人たちは彼にデートの場所や、服装やおしゃれについての
アドバイスを与え、彼女に最初の電話をかける勇気すら無い彼を励まして
電話を掛けさせたりと各方面で色々と親切に彼を応援し続けます。

そして二人がめでたく結ばれてハッピーエンドでお話が終了というのが
2ちゃんねる毒男板で今年三月から五月まで展開された電車男のお話です。
(PC)
2 鈴木♂
考察:その一

このお話はネタ(ホラ)かガチ(事実)か?という点ですが、それについては
「電車男の時刻表」という検証サイトもある位ですから、以前から盛んに議論
されておりました。
数日前、新潮社の「電車男」担当編集者の方がTVに出演された時に
電車男本人と会った時の記憶を基にした似顔絵が登場したそうですから 
少なくとも新潮社サイドとしては実話なのだと思います。

かつてネタ日記を書いていた私としましても、このお話の真贋は正直言って
分かりません。
ネタである決定的な証拠も、ガチである決定的な証拠も見つからないからです。
現在、2ちゃんねるはカキコした時のログ(IPアドレスなど)を保管して
いるはずですから、電車男のお話が事実なのかネタなのか分かる人間は
管理人の西村氏とごく数名の人間だけだと思います。

私の正直な感想としては黒に近い灰色だとは思いますが
多くの人々を感動させたのは事実だし、人々を感動させた優れたお話が
全て事実である必要もない訳なので、そこら辺はスルーしたいと思っています。

なお、現在はどうなのか分かりませんが、昨年辺りまでは2ちゃんねる毒男板
という掲示板は独特な仲間意識のある掲示板で、電車男に親切にアドバイスしたり
、共に喜んだ毒男板住人たちのピュアな部分は本当だと思います。
(PC)
3 鈴木♂
考察:その二

電車男の過去ログまとめサイトが世間で話題になっていた頃、
「2ちゃんねる文学の可能性」というタイトルの文章がweb上に登場しました。

これを書いた人は電車男で初めてこれに気付いたみたいですが、実をいうと
世間一般の人が知らないだけで、かなり以前からこういう事例はありました。
たとえば「G県厨(じーけんちゅう)」などは何で話題にならないのか不思議な程、
良く出来たお話ですし、「ネカマ作戦記」などは現在でも新しい読者を増やし
続けているという面白いお話です。
先月でスレッドは終了致しましたが、私が偶然見つけた「鍋男」のお話も
多くの人々を感動させながら未だ密かに2ちゃんねるで眠っております。
今回、新潮社というメジャーな出版社から電車男が出版され、それがある程度の
成功を収めたので、その影響は他の出版社にも波及すると思います。

日本語の研究者に言わせると現代ほど、日本人が文章を書くという時代は
かつて無かったそうです。
その理由は皆様も知っての通り、携帯電話やパソコンの普及による
メール交換や掲示板への書き込み、更には自サイトやブログを立ち上げたりする
という行為が自分でも知らないうちに数多くの文章を毎日の様に書いている
という結果によるものです。
その結果、有名無名の色んな人たちが書いた文章をweb上で自由に読める
現代という時代は、ある意味日本語や日本人にとって革命的な時代
なんでしょうね。
(PC)
4 鈴木♂
考察:その三

現在、「電車男」は発売から一月も経たないうちに22万部(一説には30万部)
を刷ったというベストセラーとなり、映画化も検討されているそうです。
これから電車男のお話がマスメディアでどの様な展開を見せるのか
分かりませんが、以前から潜在的な対立関係にあったTVとネットが
これからどの様に融合と競合を繰り広げて行くのかちょっと見ものだと私は思います。

今回はたまにSM以外のお話も書いてみました。
しかし新潮社の公式サイトだったか忘れましたが、誰かがあの2ちゃんねる独特の
AA(アスキーアート)を「ギリシャ演劇との共通性を感じる」とか書いて
いましたが、それはさすがに違うだろと思いましたけどね (-_-;) 。
(PC)