1 鈴木♂

ヴォネガット氏の訃報

ニューヨーク──皮肉とユーモアに満ちた作風で戦争の愚かさを描き、科学の
進歩に疑問を投げかけてきた米小説家カート・ボネガット氏が11日に死去した。
84歳だった。
妻で写真家のジル・クレメンツさんによるとボネガット氏は数週間前、
ニューヨーク市内マンハッタンの自宅で転倒し、頭部を負傷していた。

米インディアナ州インディアナポリスのドイツ系移民の家庭に生まれる。
第二次世界大戦中、母親の自殺直後にドイツ戦線に配属されるが、連合軍が
ドイツ軍の最後の反撃に対抗した「バルジの戦い」で捕虜となり、ドレスデンでの
拘束中に連合軍の爆撃を経験。
これが後に代表作「スローターハウス5」を生んだとされる。

「猫のゆりかご」「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」など少なくとも
19作の長編小説を執筆し、多くはベストセラーとなった。
作品には短編小説やエッセイ、戯曲もあり講演活動も行って、因習に囚われない
鋭い視点で社会を批評した。 (後略)

                        4月12日付CNNニュース
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2 鈴木♂
いよいよというべきか、滔々カート・ヴォネガット氏が亡くなられました。
84才という御高齢でしたから、老衰ではないにしても寿命を全うしたという処
でしょうか。

鈴木♂が初めてヴォネガット氏の小説を読んだのは高校三年生のときでした。
ジョージ・ロイ・ヒル監督の映画「スローターハウス5」を見て、直ぐに書店に
原作を注文したのですが、問屋から帰ってきた回答は「絶版&品切れです」という
少しつれないものでした。

それから一年くらい後に鈴木♂はこの原作を文庫本で入手するのですが、問屋が
「絶版&品切れ」と回答してきた理由は'73年に出版されたハードカバー版の事を
言っているのであって、その後'78年12月に文庫本化されて鈴木♂が入手するまで
は絶版だったという意味だったみたいです。
ちなみに鈴木♂はこの文庫本を今でも持っておりますが、「'78.12.26○○書店」
と本を購入した日付と書店名が鉛筆で裏表紙に書いてありました。
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3 鈴木♂
ヴォネガット氏の作品は現代の日本文学にも少なからぬ影響を与えていて
村上春樹、大江健三郎、筒井康隆などの小説家諸氏や、マンガ界に於いては
森山塔(山本直樹)氏が一番影響を受けているみたいですね。
ちなみに私が読んだ彼のマンガでは「とらわれペンギン(PENGUIN IN BONDAGE)」
というマンガが一番ヴォネガット風なのではないのかと思います。

最近TVに出演しているタレントさんでは爆笑問題の太田光氏が熱狂的な
ヴォネガットマニアで、彼の奥さんが社長を勤める所属事務所の「タイタン」という
社名はヴォネガット氏の小説「タイタンの妖女」から名付けられたそうです。

人間というものは何時か必ず死ぬものなのですが、生まれてから死ぬまでの
短い間に何を成し遂げたのかというのがその人の評価だとすれば、洋の東西を
問わずに多くの人々に影響を与えたカート・ヴォネガットという作家は、やはり
偉大な人物だったのではないのかと鈴木♂は思います。

ちなみに鈴木♂という人物が今までの人生の中で一番影響を受けたという作家も
やはりカート・ヴォネガット氏です。
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