1 鈴木♂

子猫

十日くらい前から鈴木♂が職場の倉庫に一人でいると「ミーミー」という子猫の
鳴き声が聞こえてくるようになりました。

最初のうちはどこから聞こえてくるのか分からなかったのですが、何度か聞いて
いるうちにその声が倉庫の入り口にある物置の青いシートの下から聞こえてくる
のが分かりました。
ある日、そのシートを少しめくってみると痩せた野良猫の顔が覗き見えて、私が
あわててシートを下ろした瞬間に猫パンチが二発飛んできましたがそれはシート
で遮られていたので被害はありませんでした。

私が見たのは成獣だったのですが聞こえていた鳴き声は子猫の声だったので
おそらくは親猫が子猫を守ろうとして私に攻撃してきたのだろうと考えた私は
それから帰宅する前にシートの脇に弁当の残り物を置いて帰るようになりました。

それから倉庫の脇を歩いている親猫を見かけたりするようになったのですが
昨日、私が終業時間を過ぎてから外に出て一服をしていると今度は倉庫の一番奥
の辺りから子猫の鳴き声が聞こえてきました。
私が倉庫の中に入りその鳴き声がした辺りを見てみると、どうやら子猫が製品の
載ったパレットの下に潜り込んでいるみたいだったので、私は手をパレットの下
に差し込み、手探りで子猫を引っ張り出しました。
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2 鈴木♂
引っ張り出した子猫はまだ目も開いておらず、人間で言うと這い這いしかできない
状態の赤ちゃん猫だったので、親猫がどこかに移動させようとして置き去り状態
になってしまったのかもしれません。

私はその子猫をどうしようかと少し困惑しましたが、取り敢えず比較的綺麗な
樹脂製の小さなコンテナの中に子猫を入れて、物置の青いシートの下に戻して
おきました。
それからしばらく仕事をしてから子猫の様子を見に行きましたが、親猫が戻って
きたらしく子猫の姿がコンテナの中にはありませんでした。

鈴木♂の職場は田園地帯というか田舎にあって、駐車場がやたらと広いのですが
そのせいか野生と野生でない動物がやたらと寄って来ます。
数年前にはお盆休みが終わって出社してみると倉庫のシャッターの前に使用済み
のコンドームとテイッシュが落ちていた事もありました。
この調子だとそのうち六尺兄貴たちとかも寄ってくるのかもしれませんが
ウンコ放置だけは勘弁してほしいと鈴木♂は思います (ー_ー;) 。
(PC)