1 鈴木♂

温故知新

例の大阪の小学校での殺人事件の影響で「刺又(さすまた)」の注文が殺到して
製造メーカーでは生産が追いつかないという状況になっているそうです。

刺又とは時代劇が好きな方ならお分かりかと思いますが、長さ2m位の棒の
先端に鉄製の大きなU字形となっている金具を付けた犯人捕縛用の道具で、
それで相手の体や首を壁に押し付けて、相手の行動を阻止するという日本古来
の道具です。

現在、販売されている刺又はアルミ製で、物干し竿をU字型に曲げただけの様な
簡単な物から、先端にスパイクが付いて、なおかつ犯人にフラッシュライトで
目潰しを浴びせるという本格的な物まで各種あるのだそうです。
数年前の大阪の小学校での児童殺傷事件以来、刺又は注目され始め、現在では
一部の警察や、小中学校で備品として備え付けられているそうです。
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2 鈴木♂
ここで私が思った事は、刃物を持った相手を押さえ付けて捕縛するという技術
は現在よりも、江戸時代の方が進んでいたのではないか?という事でした。
相手を縄で捕縛するという技術は古代からあったと思いますが、日本でそれが
確立し始めたのは戦国時代の事で、江戸時代に入ると伊予・大洲藩の方円流
などの各流派が誕生し、縄で相手を捕縛するという技術はここで頂点に達したと
思います。
では具体的に、暴れる容疑者を捕縛するという緊縛とは一体どういう物だった
のでしょうか?

まず始めに縄で小さな輪を作り、それを投げ縄にして相手の片方の手首を確保
します。
次に相手の背中に回りこんで、相手の首に縄を回します。
そうなると相手は暴れれば暴れる程、自分の首が絞まりますから自然と大人しく
なります。
その瞬間を狙って相手の体に縄を巻きつけて、抵抗できない様に相手を捕縛する
というのが実戦型の捕縛術だったみたいです。

この緊縛手順をモデルさんを使って解説しているサイトも一つだけありますが、
濡木痴夢男氏の著作「奇譚クラブの絵師たち」をお持ちの方でしたら、161ページ
にある杉原虹児氏が書かれた奇譚クラブに掲載されたイラストが、この実戦型
捕縛術です。
現代の日本の警察でも、長い警棒を使った棒術を教えているみたいですが
刃物を持った容疑者を取り押さえるという点では、江戸時代の捕縛術が非常に
参考になるのではないのかと私は思っています。
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