1 鈴木♂

高手小手縛り

私は以前、愛好会のSM談議BBSに「高手小手縛りはSMの緊縛の基本である」
と書いた事があります。
しかし今となってよく考えてみると、高手小手縛りはSMどころか人間が人間を
縄を使って拘束するという手法の最も完成された基本形ではないのかという気が
します。

如何に相手を縄を使って拘束するかという方法を最初に考えてみると、まず
両手首を縛るという事を思い付きます。
この場合、手を前にして縛ると相手の自由度が大きく、後ろ手に縛った方が
拘束する効果が大きいという事に気が付きます。
次に、後ろ手に縛っただけでは腕もひじも自由に動かせるので、腕を胴体に
縛り付ければ、腕を動かす自由を奪えるという事に気が付きます、これが
後ろ手縛りという名前の緊縛状態です。

しかし、この状態でもひじから手首は自由に動かせますので、そこで両手首を
腕と胴体を縛った縄に固定すれば、ひじを動かす自由も奪えるという事に
気が付きます。
これが高手小手縛りの状態で、両手首と腕とひじの自由を奪って、相手の
上半身を完全に拘束できる最もシンプルで効率の良い緊縛方法なのではないのか
と私は思っています。
(PC)
2 鈴木♂
なお「指は動くじゃないか」と思われる方もおられると思いますが、江戸時代
では忍者などの特殊な訓練を受けたプロを拘束する場合には、縄で縛った後に
両手の親指同士を紐で縛って縄抜けを防止したそうです。

江戸時代の方円流捕縛術の型(かた)を紹介した「方円流十八型」を見てみると
高手小手縛りなどは載っておりません。
これは高手小手縛りという緊縛が余りにも初歩的な緊縛で、わざわざ型として
紹介してはいないのだろうと私は思っています。
じゃあ、どんな型が載っているのかというと、江戸時代は士農工商という
厳しい身分制度のある時代なので、それぞれの身分と状況によってこういう風に
縛るのだという型が載っているだけです。

それによると侍でも下級、中級、上級の身分の違いによって縛り方は違いますし
、身分と性別に合わせて緊縛しなければ相手に対して失礼に当るという、今では
考えられない様な身分制度の時代であった事が伺えます。
なお、私が以前ちらっと書いた実戦型捕縛術は、方円流では「早猿結」と呼ばれた
緊縛方法の様です。
(PC)