ＳＭ雑誌の事 ３

昔のＳＭ雑誌にあって、今のＳＭ雑誌に絶対無い物と言えば、人気タレントさん
とか女優さんの緊縛イラストです。

今ではとても信じられないかもしれませんが'70年代のＳＭ雑誌には当時、人気
のある女性歌手や女優さんが緊縛されているというリアルなイラストが平気で
掲載されていたのです。
これは今で言うコラ(コラージュ)と同じ物なんですが、当時は堂々とＳＭ雑誌の
巻頭とかに掲載されていました。
今だったら間違いなく本人に訴えられますね。

私が持っている'79年の｢ＳＭコレクター｣を見ても、当時｢魅せられて｣という曲が
ヒットしていたジュディオングさんとか浅野ゆう子さんが緊縛されているという
イラストが掲載されております。
私が過去に見たコラ・イラスト？の中で一番凄いなぁと思ったのは'70年代前半の
あるＳＭ雑誌に掲載されたイラストなのですが、吉永小百合さんと松原千恵子さん
が時代劇の設定で、高倉健さんに緊縛されているというとんでもないイラスト
でした(笑)。

このコラ・イラストは当時、ＳＭ雑誌に限らずエロ劇画誌などでも見かける事が
ありましたが'80年代前半位で完全に姿を消しました。
今から考えると呑気というか大らかな時代ですね。

'80年代前半という時代は｢写真時代｣という新しい写真雑誌が人気を博した時代
でした。
この｢写真時代｣という雑誌は旧来の｢アサヒカメラ｣などの純粋な写真芸術雑誌
とは趣が異なり、アラーキーこと写真家の荒木経惟氏を中心とした新世代の
写真家やコラムニストが新鮮な視点で自己を表現するという新しい感覚の写真
雑誌だったと思います。
ちなみに荒木氏は演出家の久世光彦氏と共に'80年代の｢ＳＭスナイパー｣誌に
よく登場され、芸術的なモノクロームの緊縛画像を発表されておりました。

そして、それに触発されたかの様にアダルト雑誌業界では様々な読者投稿雑誌が
発刊される様になりました。
それまでは雑誌編集部が誌面の殆どのアダルトグラビアをモデルさんを雇って
構成しなければならなかったのですが、読者が自発的に投稿してきた写真を
メインに構成するという読者参加型のアダルト雑誌が登場してきたのです。
そういう時代を背景にして'86年にはマニア倶楽部という新しいＳＭ雑誌が
登場しました。

このマニア倶楽部の一番の特徴は緊縛モデルさんの質の高さだったと思います。
それまでのＳＭ雑誌の緊縛モデルさんは、全くの素人さんかＳＭクラブのＳＭ嬢
さんが勤めていて、マニア倶楽部のモデルさんの様な綺麗なプロのモデルさんは
、極々少数だったのです。
このマニア倶楽部の登場にはＳＭマニア以外のノーマルな一般男性も驚かされた
程でした。