1 鈴木♂
その9
1871年、代表作となる「毛皮を着たビーナス」を発表する。時にレオポルト、35歳。
※「毛皮を着たビーナス」
青年セヴェリーンは保養地で美しい未亡人ワンダと出会う。
セヴェリーンは毛皮を着たワンダに鞭で打たれる自分の姿を夢想するが、やがて
それが現実のことになる。
セヴェリーンはワンダに求婚するが断わられ、ならば奴隷として仕えさせて欲しい
と跪いて懇願する。ワンダは奴隷ごっこをする気はないと言い、奴隷契約書を書き、
殺生権をワンダに委ね、奴隷制度が法的に認められている国へ行くという条件を
出す。
セヴェリーンは自らの名も地位も棄て、一人の奴隷グレゴールと名前も変えて、
ワンダの奴隷として暮らすこととなる。
精神的にも肉体的にも責め抜かれるセヴェリーン、一方でワンダは男たちに囲まれて
享楽の日々を過ごす。
やがて、二人の前にギリシャ人の男が現われる。ワンダはセヴェリーンを縛り上げると、
ギリシャ人の男が激しい鞭で打ち据える。ワンダとギリシャ人はセヴェリーンの前で
愛し合い去ってゆく。
ワンダは二度とセヴェリーンの前に現われることはなかった。
「毛皮を着たビーナス」はヒットした。
ドイツやオーストリアだけでなく、ヨーロッパ中に翻訳され出版された。
スラブ的な男と女の関係、すなわち女王様と男奴隷の関係がヨーロッパで認められた
わけではない。ヨーロッパの常識とは違う文化に興味を示した人は多かったのだろう
が、むしろ、革命や戦争が続き、社会不安と新しいデモクラシーの時代への希望が
渦巻くという、価値観が大きく変動していた時代、とくにパリなどの都会では、
社会や政治と同様、恋愛においても従来のカトリック的なモラルを超えた何かを
求めていたに違いない。
※「毛皮を着たビーナス」
青年セヴェリーンは保養地で美しい未亡人ワンダと出会う。
セヴェリーンは毛皮を着たワンダに鞭で打たれる自分の姿を夢想するが、やがて
それが現実のことになる。
セヴェリーンはワンダに求婚するが断わられ、ならば奴隷として仕えさせて欲しい
と跪いて懇願する。ワンダは奴隷ごっこをする気はないと言い、奴隷契約書を書き、
殺生権をワンダに委ね、奴隷制度が法的に認められている国へ行くという条件を
出す。
セヴェリーンは自らの名も地位も棄て、一人の奴隷グレゴールと名前も変えて、
ワンダの奴隷として暮らすこととなる。
精神的にも肉体的にも責め抜かれるセヴェリーン、一方でワンダは男たちに囲まれて
享楽の日々を過ごす。
やがて、二人の前にギリシャ人の男が現われる。ワンダはセヴェリーンを縛り上げると、
ギリシャ人の男が激しい鞭で打ち据える。ワンダとギリシャ人はセヴェリーンの前で
愛し合い去ってゆく。
ワンダは二度とセヴェリーンの前に現われることはなかった。
「毛皮を着たビーナス」はヒットした。
ドイツやオーストリアだけでなく、ヨーロッパ中に翻訳され出版された。
スラブ的な男と女の関係、すなわち女王様と男奴隷の関係がヨーロッパで認められた
わけではない。ヨーロッパの常識とは違う文化に興味を示した人は多かったのだろう
が、むしろ、革命や戦争が続き、社会不安と新しいデモクラシーの時代への希望が
渦巻くという、価値観が大きく変動していた時代、とくにパリなどの都会では、
社会や政治と同様、恋愛においても従来のカトリック的なモラルを超えた何かを
求めていたに違いない。
(PC)