1 鈴木♂
その2
1836年1月27日ガリチアの首都ルヴォフで、レオポルトは誕生する。
祖父にとってはマゾッホの家名を継ぐ待望の男の子の誕生だった。
しかし、またもや祖父の頭を悩ませることが起こる。レオポルトは体が弱かった。
体の弱いレオポルトが死んでしまっては大変。医者の祖父は細身の母親では
育児は無理である、たくましくて乳のわんさか出る乳母に育てさせねば駄目だと
判断した。幸いルヴォフ郊外に住むウクライナ人の農民の女に適当なのがいた。
豊満な肉体、はちきれそうな乳、すなわちダイナマイトボディ。ブロンドの髪で
威風堂々とした女だ。このウクライナ人の農民の女がレオポルトの乳母となった。
たくましく堂々とした女王様のような女の乳を飲み、体臭を嗅ぎ、レオポルトは
育ったため、たちまち元気になったが、同時に生涯に渡り、理想の女性のイメージ
が決定された。
この乳母は、幼いレオポルトを寝かしつけるために、ウクライナの民話を語って
聞かせた。その話というのが、北方の国の残酷な女王の話だとか、女吸血鬼の話、
ポーランドの大王を鎖で繋いだユダヤ女の話、勇敢なアマゾネスの女戦士の話など。
東欧の昔話にはおしなべてこういう話が多いんだそうだ。女は強く、男はみじめな
もの。女は自然そのもので、母は大地。そして、男はすべからく大地で働かされる
奴隷だ。自然は人間に対して時に厳しく時に優しい。鞭を打つ試練を与えつつ、
優しくその胸で抱きやすらぎを与える。それが自然の摂理である。
その摂理ゆえ、たいていの女は、夫や恋人に対して、厳しく優しい女王として
ふるまう、男は妻や恋人の前に奴隷として跪く、それがこの地方の慣習であり、
自然というものなのである。ホントかどうかは私は知らんが、レオポルトは
そういう話を聞かされてそだった。
祖父にとってはマゾッホの家名を継ぐ待望の男の子の誕生だった。
しかし、またもや祖父の頭を悩ませることが起こる。レオポルトは体が弱かった。
体の弱いレオポルトが死んでしまっては大変。医者の祖父は細身の母親では
育児は無理である、たくましくて乳のわんさか出る乳母に育てさせねば駄目だと
判断した。幸いルヴォフ郊外に住むウクライナ人の農民の女に適当なのがいた。
豊満な肉体、はちきれそうな乳、すなわちダイナマイトボディ。ブロンドの髪で
威風堂々とした女だ。このウクライナ人の農民の女がレオポルトの乳母となった。
たくましく堂々とした女王様のような女の乳を飲み、体臭を嗅ぎ、レオポルトは
育ったため、たちまち元気になったが、同時に生涯に渡り、理想の女性のイメージ
が決定された。
この乳母は、幼いレオポルトを寝かしつけるために、ウクライナの民話を語って
聞かせた。その話というのが、北方の国の残酷な女王の話だとか、女吸血鬼の話、
ポーランドの大王を鎖で繋いだユダヤ女の話、勇敢なアマゾネスの女戦士の話など。
東欧の昔話にはおしなべてこういう話が多いんだそうだ。女は強く、男はみじめな
もの。女は自然そのもので、母は大地。そして、男はすべからく大地で働かされる
奴隷だ。自然は人間に対して時に厳しく時に優しい。鞭を打つ試練を与えつつ、
優しくその胸で抱きやすらぎを与える。それが自然の摂理である。
その摂理ゆえ、たいていの女は、夫や恋人に対して、厳しく優しい女王として
ふるまう、男は妻や恋人の前に奴隷として跪く、それがこの地方の慣習であり、
自然というものなのである。ホントかどうかは私は知らんが、レオポルトは
そういう話を聞かされてそだった。
(PC)