1 鈴木♂

「上手い縛り方」

鈴木♂が昔から考えている事で、未だによく分からない事の一つに「上手い縛り
方」というのがあります。

ではその逆に「下手な縛り方」というのはどんな物かというと、これは簡単で
お相手やモデルさんを危険に晒したり、傷付けたりする様な縛り方なんじゃない
のかなと鈴木♂は勝手に定義付けております。

最近のSM雑誌やDVDの予告を見ると若手の縄師さん程、凝った縛り方をする
方が多いと思いますが、それはあくまでもプロとして既存の縄師さんとの差別化
を図りたいという意図があっての事だろうと思いますし、そうやって凝った縛り
方をしても、それはあくまでもそれをお客さんに見せてお金を稼ぐという商業的
なSMの見地に立った縛り方ではないのかと。

鈴木♂を含めて、このサイトを御覧になられている皆様方のうち、大半の方が
アマチュアの方だと思いますが、そういった私的なSMをする場合に於いては
見た目の綺麗さよりも、SとMがお互いに満足できる縛り方のほうが重要である
様な気が致します。

以上の事を考慮して、本当に「上手い縛り方」とは何かという事を改めて考えて
みると「上手い縛り方」というのは決して方向性の矢印(ベクトル)が一方向では
なく、Sの満足度、Mの満足度、見た目の綺麗さや迫力という三方向に伸びた
矢印が形作る三角形の総和が大きいという事であって、その矢印のどれを重要視
してどんな三角形を望むのかという事は、それぞれの立場によって違うのでは
ないのかと。

もしも本当の意味においての緊縛の達人がいるとすれば、上記の三つの矢印
(ベクトル)の量(スカラー)をどれでも自由に、自分の限界まで伸ばす事ができる
という人じゃないかなと鈴木♂は思います。

今回はちょっとややこしいお話になりましたが、結論としては「上手い縛り方」
というのはプロの縄師、アマチュアのS、アマチュアのMという三者のどの視点
から見ても納得できるという「縛り方」の事を言うのではないのかという気が
私には致します。
(PC)
2 鈴木♂
鈴木♂が何故唐突に「上手い縛り方」という話題を書いたのかというと
上記にも少し書きましたが、最近の若手の縄師さんの緊縛には「相手を縛りたい」
=「相手を自分だけの物にしたい」というSMという行為に於いて、本来Sが内包
している、欲望というか熱気の様なものが感じられない緊縛が最近とみに多い様
な気がしたからです。
「これだったらアメリカのボンデージ式緊縛のほうがSMの本質に近いのでは?」
と思ったり「こんな感じの緊縛をSM初心者が見続け、これが唯一の正しい緊縛
だと思い込んだら、それって商業SMの一つの弊害じゃないのか」と考えたりと。

鈴木♂はSMマニアにとってのSMというものは最終目的地ではなく、一つの
通過点とか対症療法だと考えています。
そして本来目指すべき最終目的地に到達する手法の一つにSMという方法がある
のであって、そこに早く到達するにはSM行為での縛り方でも
「いかに上手く綺麗に縛るか」ではなく、自分の欲求に素直に従って縛る、或い
は自分の欲求を満たす様に縛って貰うという事が肝心ではないのかと。

長々と下らない文章を書きましたが、商業的なSMと各個人が行うSM行為は
同じ様に見えても本質は違うという事ではないかと私は思いますし、「上手く
綺麗に縛ろう」という制約を敢えて自分自身に設けるという事は却って、最終目的
地への道を遠回りさせる事になるのではないか?と鈴木♂は考えたりします。

SMというものには「これが唯一の正しいSMだ!」なんてものは絶対存在しない
と私は思います。
ですからこの駄文も「鈴木♂がこんな事を言っている」という程度に読んで戴ければ
幸いだと思います。
(PC)