月いろの手紙 SONG NOTE

過去ログ174 2013/8/20 0:36

▼彩 愛 美D
パインドリーム
 
忘れていた 南からの風が
少し埃っぽい部屋を 吹き飛ばせば
あの頃好きだった 懐かしい香りに
知らず内に 満たされていた

半透明の泡に弾ける パインソーダの
向こうに放置していた 恋心を灯して

ト書きのテーブル恋愛を 立体にして
シナリオに無い アドリブに右往左往して
危うい恋のスリルを 楽しむように


慣れない不器用な 危うい手付き
少しくらい形が 歪でもいいと
初めて挑戦する パインケーキ
出来上がりは 別だとしても

そのまま食べた方が良かったんじゃないと
空しい努力の結果論を 出さないでね

上手じゃないのは確かに 認めるけれど
これからもっと 上手くなる予定だからね
今日のところはこれで 我慢してよね


南からの風が少しだけ 冷たく感じる
スコールでも降れば あら熱も取れるかな


中身の抜き取られた パインの皮みたいに
淋しくなるよねと 夏の恋人を残して
秋への恋に繋げて 夢見ていたい


*SONG for 古和泉 恋華
 
 
2013/8/20 0:36

▼彩 愛 美D
暑い夏の日に
 
暑い夏  微笑んで
だだ真上に 居るだけの太陽を
嫌うようにして 木陰に誰もが
逃げ込むように 急いだ

重たいだけの 風車も
動かないままで そこに居る
蝉の声に 汗が滲んで
見上げた空の青さに 目を廻した


暑い夏  凍り付いた
ときを溶かし 停まった想いの針
動き出せばまた 刻めるのだろうか
生い茂る 草のように

目に停まる 物語だけが
真実の 全てでは無いと
冷蔵庫の 扉の向こうに
閉じ込めて来た 事実に目を反らして


照り付く 悪夢の晴天
思考の先を 見えなくする流れる汗
立ち眩みする 頭痛の中で
何を感じて 居たのだろう


暑い夏  壁を伝う
弦草のように 張り巡らされて
夜まで待てない 睡魔の言葉に
身を任せた 昼下がり


*SONG for 和  音
 
 
2013/8/9 23:28

▼彩 愛 美D
ファミレス
 
アフターティーの後の
ラストオーダーも終わって
閉店時間を
やたら気にしているホール係

ただ一人だけで席を占領して
漠然とした時間を過ごして
たいした利益にも繋がらない最悪の客

そんな風にしてもあなたを待ち続けた
もう二度と逢えない人と解っていても


今時24時間の
営業時間でも無い
街中みたいに
客足の速い店でも無くて

淋しさを何処かで忘れようとして
人が集まる場所を選んで
開店から閉店時間までオーダーを繋いだ

あなたが好きだったこの店のメニュー並べ
もう二度とは届かない想い並べて


ファミリーレスな私が家族を作りたいと
唯一あなたに想いを預けたけれど


大事な家族をまた失くしてしまったのね
それを認めたくはなくてここに居るけど


*SONG for 友 香 梨
 
 
2013/8/5 23:37

▼彩 愛 美D
雨のグラスボート
 
湾岸線に沿ってテールランプの赤い糸が
夜の甘い苺のように連なって行く
家路へ向かう平日の夜の入口で
次第にぼやけて行く想いを抱いて

切なさをよけいに募らせる黄昏時
沈み行く夕陽も見えはしないけど

雨の日のグラスボートのキャビンには
私以外に誰も居なくて
つまらない事ばかりを考えてしまう


会話の声も雨に掻き消されて解らなくなる
気持ちだけ受け止めて振りだけ頷いた
どうせどちらでも構わない話なんだから
上辺だけ調子を合わせていたの

こんな風に自分を振り返られる時
本当の自分を見詰め直す時

雨の日のグラスボートの一人ディナー
無言のままでの淋しい食事
どんな料理も美味しく感じられない


ふと出来た平日の休日それが雨の日だった
次の日も仕事ならこんな日は誰も大人しく
家に帰りたいのでしょうね


雨の日のグラスボートに乗り込んだのよ
私一人とは想わなかったけど
こんな休日もたまにはいいのかもね


*SONG for 友 香 梨
 
 
2013/8/3 0:23

▼彩 愛 美D
三度目のkiss
 
三度目のkissの味は
あまり覚えてはいなくて
もう一度と強請りたい気持ちを
抑えるのに必死だったから

ほんの一瞬だけ唇が触れただけなのに
ずいぶん長い時間が流れたみたいに

空白の時間が頭の中を廻っている
恋に心が痺れて動けなくなる程よ
あなたの胸の中に想わず倒れ込んだ


まだ人に言える程に
経験した訳でもなく
どう対応していいのかなんて
考えている余裕も無くて

強い衝撃が体の中を駆け廻っている
腰が抜けたようにその場から動けなかった

喜びに震える想いを抑え切れずにいる
天にも昇りそうなふわふわ浮かれた気分
もうこの恋に溶けてとろけてしまいそうよ


こんなのただの儀式だわと想ってはいても
いざその時になればビクビクとしている


目を閉じていても近付いて来る気配で解る
あなたの吐息を感じる唇ゼロ距離
あなたの事だけしか考えられなくなる


*SONG for 沢嶋 メロン
 
 
2013/7/29 23:23

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